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性格・親のかかわり・育て方

Q. 人見知りが激しすぎる1歳半の娘。心の発達などに問題があるのでしょうか? (2019.3)

  • (妊娠週数・月齢)1歳6か月

1歳半になる娘の人見知りが激しくて悩んでいます。家では走り回ったり歌ったりヤンチャな娘ですが、児童館や支援センターに行くと、私に抱きついて顔を隠し離れようとしません。お友だちがお昼ご飯を食べていて誰にも注目されていないときに、静かに遊ぶ感じです。ここまで人見知りが激しい子はまわりにいないので何か心の発達などに問題があるのではないかと不安です。また毎日児童館などに行くことは、娘にとってストレスでしょうか。

回答者: 高橋惠子先生

 まず、この時期の人見知りは、子どもの発達が順調であることの表われですので、親としては、発達がうまくいっている証拠だと自信を持ってください。

 1、2歳児の人見知りは、子どもが「よく知っている人」と「知らない人」の2つのグループの区別ができてきたことの表われです。「知らない人」を警戒するのは、子どもが自分の安全・安心を保つうえで重要です。「知らない人」を警戒せずに抱っこされたり、ついて行ったりしては危険です。「知らない人」でも、つきあってみて安心な人だとわかってくると、少しずつ警戒心を解いて「知っている人」のグループに入れるようになります。つまり、このころの人見知りは、年長の子どもや時にはおとなにも使われるいわゆる“人見知り”のように、“社会性がない”ことを意味しません。1、2歳児の人見知りは、子どもが自分を守る安全装置なのです。

 質問者が、わが子がよその子とは違うという印象を持つのには、2つの理由が考えられます。

 第一には、「よく知っている人」の数や種類には子どもが育つ環境が影響しますので、個人差があることです。核家族で専業主婦の母親のもとで育っている場合には、子どもが知っている人は多くはありません。これに対して、大家族や商店の子どもなどでは、幼いころから多くの種類の人々に接しているために既知の人が多い可能性があります。このような子どもは児童館などでも活発にふるまうことでしょう。これに対して、前者の子どもでは親は歯がゆい思いをするかもしれません。子どもが知っている人を増やすのをゆっくり待ちましょう。これまでつき合うことが少なかった種類の人々(たとえば、子ども、よその子どもの親、児童館の職員など)について、子どもが安心だと思えるような体験をさせていきましょう。「遊びなさい」と突き放すのではなく、母親自身が他人とのつき合い方の手本を見せたり、母親が児童館で過ごすことを楽しく感じたり、楽しそうにふるまうことも大切です。子どもは母親が楽しそうに笑顔で接している人は「安心な人にちがいない」として警戒しないという心理学の実験があります。お母さんは子どもの世界を広げる大切な人なのです。
 
 第二には、新しい場所や人に馴れることについても個人差があることです。新しいことがらや環境に挑むときに、大胆にできる子どもと慎重な子どもがいます。これは持って生まれている性質で、急には変わりません。慎重な子どもは賑やかな場所は苦手で、馴れるのがおそく、気後れしているようにも見えますし、無理強いすると母親から離れなくなったりもします。しかし、慎重型の子どもが不利だと考えるのは賛成できません。私たちの研究では、慎重型の幼児は関心を持ったことに集中し、粘り強くがんばることができることがわかりました。慎重型は貴重な個性なのです。

 このように、子どもの性質をよく知って、子どもにあったやり方で新しい体験をさせるのがよいのです。子どもの性質が分からないと心配する必要はありません。子どもが児童館に行くのを嫌がらず、体調もよく、笑顔もたくさん見せているようであれば、その子どもなりのやり方で、児童館を楽しんでいるのだと考えてはいかがでしょう。