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母乳とミルク・授乳

Q. 生後1か月。授乳後にゲップを上手にさせられません。 (2019.3)

  • (妊娠週数・月齢)1か月

生後1か月の男の子を完母で育てています。母乳の出もよく、健診でも順調に育っていると言われました。ただ新生児のときから、授乳後のゲップをうまく促してあげられません。最近は、授乳後におなかが苦しいのか、手足をバタバタと動かして泣いてしまいます。縦抱きにしたり、背中をさすったり、とんとんとしますがゲップは出ません。そんな状態のため、布団に寝かせても、眠ってくれません。どうしたらよいでしょうか?

回答者: 市川香織先生

 生後1か月の赤ちゃんのゲップがうまく出せずにお困りなのですね。母乳ですと、毎回飲む量が同じではありませんので、ゲップがしっかり出るときもあれば、まったく出ずに眠ってしまう時もあるでしょう。ミルクのびん哺乳に比べると、母乳は空気を飲み込むことが少ないので、ゲップも比較的少ないと思います。ですので、授乳後、数分縦抱きにして背中をさする、とんとんするという、いまの方法でよいでしょう。眠ってしまうようでしたら、そのままそっと寝かせ、吐き戻した母乳が気道に詰まらないように、身体と顔を少し横に向けてあげましょう。赤ちゃんをお母様の膝の上でお座りさせて、前かがみになるように上半身をお母様の腕で支えながら背中をさすってあげる方法も、効果があります。ぜひ試してみましょう。

 また、現在1か月で「完母」ということなので、母乳の出がよいということですね。健診でも順調に育っていると評価されていらっしゃるので、むしろ母乳は出すぎているくらいかもしれません。産後の疲れが癒されてくる2~3週間くらいになると、母乳の出もますますよくなってきますので、きっと満足いくだけ赤ちゃんも母乳が飲めていることでしょう。ただ、授乳の後の赤ちゃんの様子から、もしかしたら飲みすぎておなかが苦しくなっている、ゲップというよりもおなかが張って苦しい可能性もあるのではないかと思われます。

 いま行っている授乳の方法ですが、左右の乳房からそれぞれ短時間で切り替える授乳方法、たとえば、右側5分、左側5分というように、赤ちゃん主導ではなく、時間で切り替えるような方法は取っていませんか。短時間で切り替えると、赤ちゃんは授乳の初めに出てくる脂肪分の少ない母乳しか飲めません。1回の授乳でも、最初の母乳と最後の母乳では脂肪分が変わると言われており、最後まで飲み取ることで赤ちゃんは満足するのですが、脂肪分の少ない母乳だけを往復すると、量は飲めていったん満足したように見えても、すぐにまた泣いて母乳を欲しがるということになります。授乳回数としてはたくさん飲むことになるので体重は増え、一見問題がないようなのですが、この飲み方を続けていると、母乳に含まれる成分のうち、脂肪分ではなく乳糖が多く腸に送られることになるため、腸の中でガスが増え苦しくなって泣く、というパターンになってしまう可能性があります。これは、母乳の出がよすぎる場合にしばしば起こります。

 この対応策としては、左右交互に何分という吸わせ方ではなく、片方をしっかり満足するまで吸わせること、赤ちゃんが自分から自然に口を離すまで吸わせることが効果的です。乳房がふわっと軽くなるまで片方を飲み切ってもらうのがコツです。片方で満足して眠ってしまうようでしたらそのまま寝かせ、赤ちゃん主導で飲みたがったら飲ませるようにします。そうすると、少しずつ赤ちゃんのおなかも落ち着いて、張りが取れると思います。もしご心配であれば、母乳育児相談を行っている助産所などに一度ご相談されるとよいでしょう。母乳はこれから長く続けていくことになりますので、ときどきお母様自身の乳房の状態と赤ちゃんの飲み方や成長発達を助産師にみてもらいながら、母乳での授乳を続けると安心です。