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性格・親のかかわり・育て方

Q. 1歳10か月の息子が「ママ」とあまり言いません。 (2020.3)

  • (妊娠週数・月齢)1歳7か月

1歳10か月と9か月の息子がいます。お兄ちゃんは好奇心旺盛な時期で、やってみたい思いも強い子なので私もできるだけつきあってあげたいと思っています。ですが、私の仕事や保育園など時間に限りがあり、息子と向きあえていないのではないかと心配になります。例えば、危険なことや汚いことなどやめてほしいことを何度注意しても繰り返すとき「じゃあもういいよ。好きにしていいよ。ママは知らないからね」と言って離れたり、知らんぷりしてしまいます。そうすると息子は大泣きしますが、こういうときにだけ時々「ママ」と呼びます。「ママ」という言葉の意味は理解しているのに普段は「ママ」と呼んでくれないのもすごく悲しくて悩んでいます。パパや他人のことはたくさん呼びます。息子は優しいパパが大好きで、パパがいるときはパパにべったりです。私のことをあまり好きじゃないから「ママ」と呼んでくれないんじゃないかと悲しくなります。なんでこんな突き放したようにしてしまうんだろう、私の叱り方、接し方が間違っているのだと思い、毎晩悲しくなります。どうしたら限られた時間の中で、とことんつきあったり、やめてほしいことはやめてもらえるよう、話しかけるように促すことができるでしょうか? 大好きだよと毎日抱きしめて伝えていますが、他に愛していることが伝わる方法はありますか?

回答者: 帆足暁子先生

 お子さんへの思いがたくさんあるのに、それが上手に伝えられないのは、つらいことですね。
 あなたは息子さんのことをわかっているのですね。「好奇心旺盛な時期で、やってみたい思いも強い子」。だからこそ、それを発揮させてあげたいと思っている。素敵なことです。息子さんは1歳10か月。この時期はやってみたいと思うと、だれが止めようと、自分の思いをやり遂げようとします。これが第一反抗期の特徴だからです。順調に発達されていますね。ただし、子どもは危険なこともしてしまうのに、親が止めても聞き入れず、子どもを心配する親の気持ちが伝わらなくて、親のイライラが募る時期でもあります。

 さて、どうしたらよいかを考えましょう。

 まずは、時間は限られているということ。お子さんととことんつきあうのは、素敵なことですが、1か月の中で、どれくらいなら、出来そうですか?1回?2回?つまり、あなたの出来る範囲で考えましょう。あなたが思い切り一緒に楽しめる体験がなければ、息子さんには、とことんつきあってあげたいというあなたの思いが伝わりません。中途半端な10回よりも遊びこむ1回の方がお子さんの心には強く残ります。子どもは体験が大切。
そして、危険なことがあると関係がこわれやすいですから、危険のない環境をこれまでの記憶を思い返してチェックしてみてください。広い公園がよいのか、保育者がいるような家庭支援センターがよいのか、あなたのご実家が安全なのか。
 この二つの要素を考えれば、あなたが望む「とことんつきあう」ことは実現できます。

 さて、次に、なぜあなたが「じゃあもういいよ。好きにしていいよ。ママは知らないからね」と言って息子さんから離れたり、知らんぷりしてしまい、息子さんを「突き放したようにしてしまう」のかを考えます。これが、あなたを毎晩悲しくさせてしまっていることですね。

あなたの中に、息子さんと繋がっていない不安や悲しさがあるように感じます。それは、「ママ」と呼んでくれないことや、やめてほしいことを何度注意しても止めずに繰り返すことからきているようです。その不安からさらに叱責してしまい、さらに不安になりさらに叱責…と悪循環になっているようです。

 「ママ」と呼んでくれないということ。お子さんにも理由があるのでしょう。あなたが「ママ」と呼んでほしいことがわかっているからこそ、自分の気持ちをわかってくれずに叱責する「ママ」への子どもなりの悲しさの表現かもしれません。「優しいパパが大好きで、パパがいるときはパパにべったり」ですから、我が身と比較してつらくなりがちですが、単純に「遊んでくれるから」「叱責されないから」、パパが大好き、という時期でもあります。
 それに、どんなにパパが大好きでべったりしていても、子どもにとっては、ママが一番です。あなたが自分の体で息子さんをはぐくみ、生んだのです。こんなに強い絆はありません。息子さんはあなたが一番大好きです。自信をもって大丈夫!

 でも、やはり「ママ」と呼んでほしいですね。
その近道は、息子さんを理解しようと、あなたが言葉をかけていくことです。例えば、叱責する前に「やめてほしいけれど、やめたくないの?」とか。だれでも、自分を理解しようとする人の期待には応えたいという気持ちが起きてきます。

 もう一つ。あなたが息子さんに「やめてほしいことを何度注意しても止めずに繰り返す」ことに対するネガティブな思いです。実は、子どもは親が「やめて」といっても止めないものです。コツは「やめたくなるにはどうもっていったらよいか」です。あなたの息子さんへの叱り方は違うようです。たぶん、あなたが子どものときにされてきた叱り方がモデルとして残っているのかもしれません。どうしてそうするのか、息子さんを理解しようとして気持ちを聞くのも大切なかかわり方です。
 ですから、ちょっと視点を変えて、どういうときなら、息子さんが比較的やめてくれたのか、どういう話し方をしたときにやめてくれたのか、それらの情報から、あなた流の「息子さんの新しいトリセツ」を見つけましょう。子育ても実は科学です。

 出来る範囲で、出来ることを一つ一つやってみてください。あなたが「大好きだよと毎日抱きしめて伝えて」いることは一番大切なこと。あなたはちゃんとそれを実践しているのです。大丈夫!
それでも一人では不安でしたら、ぜひ専門家に支えてもらってください。