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発育・発達

Q. 腹ばいが嫌いではいはいをしない9か月の息子。 (2020.11)

  • (妊娠週数・月齢)9か月

9か月の男の子です。寝返り、ずりばい、はいはいができません。腹ばいが嫌いなせいだと思います。おすわりの状態で少しずつ前に進んでいます。自分でスムーズな移動ができないため、すぐに泣いて抱っこを要求します。しばらく手を貸さずに見ていたりもするのですが、泣きすぎて吐いたりします。運動量が少なく、離乳食もあまり食べません。まわりには「そのうち立って歩くようになるから気にするな」とは言われますが、発達を促すために何かできることはないでしょうか。

回答者: 横田俊一郎先生

 子どもの運動機能の発達は、頭から足に向かって、体の中心から手足の先に向かって進む、というのが原則です。また、首すわりやお座り、一人歩きなど発達の目印となる機能があり、いつそれを通過するかということが、発達の早さや異常を考える上で大切になります。

 しかし、「はいはい」や「つかまり立ち」のように、発達の目印のひとつと考えられている機能なのに、ここを通過しないまま先に進んでしまう子どもが時にみられます。子どもの発達はバリエーションが多く、個性的です。もちろん、明らかに異常と考えられる遅れもありますが、きちんと乳幼児健診を受けていれば異常が見落とされることはないでしょう。ご相談のお子さんは、一度診察を受けて足の筋肉や神経に異常がないことなどを確認してもらうことは必要ですが、お座りの状態で前に進めているので大きな異常はなさそうにみえます。

 個性的な発達の中に、はいはいをせず、座ったままおしりを床から浮かせて前方へ移動する赤ちゃんがいます。昔から「いざりっ子」と日本では呼ばれてきました。欧米ではシャフリングベビーと呼ばれ、シャッフルとは「足を引きずる」「トランプを切る」という意味で、座ったまま移動する様子からこの名前が出てきたものと思います。このタイプの子どもは小さいころから足をピョンピョンしないことが多く、足を床につけようとせず、うつ伏せも嫌いで寝返りもほとんどしません。また、歩くのが遅れて1歳6か月から2歳ころになることが多いことがわかっています。しかし、歩き始めると普通の子どもと変わりなく、大きくなれば何も問題はありません。遺伝する傾向があり、きょうだいや両親に同じような発達をしている人がいることがあります。

 このような子どもをどのように訓練するかという問題ですが、いずれ普通に歩くようになるのですから、特別な訓練や治療は必要ありません。好きなおもちゃを近くに置いて、うつぶせの状態から取らせようとしてみるのもよいかもしれません。子どもが喜ぶような対応をし、周囲の大人がそれを楽しく見守ることが大切だと思います。いやがることを無理にさせる必要はありません。「そのうち立って歩くようになるから気にするな」というのが正しい対応なのだと思います。ただし、きちんと立って歩くまでは小児科クリニックで経過をみてもらってください。