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ママ・パパの気持ち

Q. 4人目の子を中絶したことを後悔しています。 (2021.4)

現在、3人の子を育てているのですが、何年も前から4人目が欲しいと思っていました。そんな矢先、思いがけず妊娠し、すごく戸惑い、上の子たちを妊娠したときとは違ってとても不安な気持ちになりました。実は3人目を出産後、強迫性障害になり、病気に関してとても不安になりやすく、「障害を持った子が生まれたら?」としか考えられなくなってしまいました。強迫性障害の症状は落ち着いてきていたのですが、また症状がひどくなってきて、3人の子どもたちを不安にさせてしまうのではないかなど、いろいろ考え、悩みに悩んだ結果、主人と相談し中絶を選択しました。主人はきっと落ち着いた生活を送れるようになった私がまた精神科に通うことをかわいそうに思ったのだと思います。しかし、中絶の手術中から涙が止まらず、1か月経ったいまも後悔ばかりしています。「あんなに4人目を望んでいたのになんでそんなに深く考えてしまったんだろう。やっぱり産みたかった。いまでも産みたい」と、毎日考えてしまいます。主人にその気持ちを伝えたところ、「いまはおなかに赤ちゃんがいないからそう思えるけど、また妊娠しても同じ気持ちになり、同じことを繰り返すことになる」と言われました。私もそうだと思うのですが、どうしても毎日そのことを考えてしまいます。ほかに誰にも相談もできません。どうすればいいのでしょうか?

回答者: 帆足暁子先生

 誰にも相談できないこのつらい状況の中で、あなたはよくがんばっています。
 あなたはどうしたらよいのかよくわかっているのに、「毎日どうしても考えてしまって苦しい。頭ではわかっているのに、そうできない」のですね。自分で自分をコントロールできないのは、一番つらいことです。
 あなたは、4人目が欲しいと思いながら、3人のお子さんと落ち着いた生活をされていました。
 そして、思いがけず4人目を妊娠。あなたの思いが現実になりました。そのとき、改めて「4人の子どもの母としての生活」を現実的に考えることになったのです。「3人目を出産した後の強迫性障害」から、不安が大きくなりました。「障害のある子が生まれたら」「強迫性障害の症状がひどくなって、3人の子どもたちを不安にさせてしまうのでは」という不安にとらわれてしまいました。その中で「いろいろ考え、悩みに悩んだ結果」、中絶しようと選択されました。

 しかし、中絶という「4人目を失う」現実に直面した瞬間、あなたの中に残っていた「4人目が欲しい」という気持ちが強く沸き上がり、「やっぱり産みたかった」「いまでも産みたい」という思いに今度はとらわれてしまいました。ですから、中絶から1か月たち、「また妊娠しても同じになるとわかっている」けれども、いまも後悔ばかりして、どうしても(産みたいと)毎日考えてしまっているのだと思います。

 では、どうすればよいかを一緒に考えていきたいと思います。

 あなたの中で一貫しているのは、もし不安がなければ4人目の子どもが欲しい、ということではないでしょうか。そうであれば、不安を解消していくことができれば、安心して4人目の子どもを産むことができると思います。
 あなたの不安は二つあります。強迫性障害の症状がひどくなることと、生まれる子どもの障害の可能性です。

 まず、強迫性障害の症状についてです。症状がひどくならないとしたら、あなたの不安はなくなりますね。症状がひどくならない状態であるためには、原点にかえって、なぜあなたが3人目を産んだ後に強迫性障害になったのかを考えるところからの整理が必要です。なぜなら必ずその理由があるからです。そして、そのときにはそうなる必要があったのだと思います。そのころのあなたは何かつらかったり苦しかったりすることがあったのではないでしょうか。あなたをそこまで追い詰めたことは何だったのでしょうか。その頃と同じような状況になる可能性はありますか。もしなったとしても、症状がひどくならないための手立てをいまのあなたなら持っていますか?

 それから、生まれる子どもの障害の可能性は、残念ながら誰にも分かりません。疫学データでは、夫婦の年齢が出産適齢期であれば、その可能性は低いことくらいしか分かっていません。

 不安は、解消しませんね。

 では次に、違った方向から考えてみましょう。
 苦しいのは「やっぱり産みたかった。いまでも産みたい」という考えにとらわれてしまうことですから、その考えから抜け出すために、不安の解消はできませんが、今度妊娠したら4人目を産む選択をすることです。あなたの不安が現実にどうなるかは、やってみなければ分かりません。でも、考えにとらわれるつらさからは解放されます。

 ただ、あなたの苦しい状況は、自分で選択(決断?)した現実を「受け入れる」ことができないことから生じているように思います。あなたはちゃんと「いろいろ考え、悩みに悩んだ結果の選択」をされています。それなのに、選択しなかった選択肢の方が正しいように思えてそれにとらわれてしまっています。でもあなたは不合理な考えだとわかっています。あなたが出したあなたの選択は信頼してよいのです。つまり、自分を自分が信頼すること。そうできないのは、これまでのあなたの人生の中で、自分を信頼できないと思う体験をされてきたからだと思うのです。考えたくないのにどうしても考えてしまい、とらわれてしまうのは苦しいことです。もちろん、人間ですから気持ちがぶれることはあります。でも自分を信頼できる範囲内に留めましょう。
だれにも相談できなければなおさらです。

 でも、これはあなたがいまも抱えている課題を整理する一つのチャンスでもあります。精神科に通われていたとのことですが、カウンセリングもされていらしたでしょうか。あなたと一緒にあなたの課題を整理することを手伝ってくれる、信頼できる専門家がいると、あなたのこれからの人生を、いきいきと満喫することが安心してできるようになるのではないかと思います。
 自分の気持ちを段階を追って文章化できるあなたです。自分を信頼して大丈夫です。