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性格・親のかかわり・育て方

Q. 5歳の息子。家族と外遊びをしたがらなくなりました。 (2021.4)

  • (妊娠週数・月齢)5歳

5歳の息子がいます。昨年はコロナの影響で、公園遊びができない時期があり、幼稚園以外で外遊びの機会がほとんどないまま秋を迎えました。最近過ごしやすい季節になってきたので、「公園に行こうと」誘ったところ、かたくなに「出かけたくない!」と言うようになってしまいました。以前はそのようなことはありませんでした。いまでも友だちが公園にいるとわかれば、元気満々で出かけていきますが、家族だけだと途端に興味を無くして「家でお絵描きしてる方が楽しい」「DVD見る方がいい」などと言います。もともと遊具やボール遊びは好きではありませんでしたが、どんぐりを集めたり、いろんな形の枝を集めてみたりと、公園で工夫して遊んでいました。親としては、外でいろんなものに触れることで五感を刺激し、成長していってほしいと思っており、家で遊んでばかりだと、発達面でもよい影響がないのでは?と思ってしまいます。親としてどう働きかければいいのでしょうか?

回答者: 高橋惠子先生

 友だちがいれば外遊びも楽しめている様子であるのに、親とは遊びに行きたくないという。このような場合、少なくとも、3点について考えてみるとよいでしょう。

 第一に、5歳児はもう「親と遊んでもつまらない」「親と遊ぶのは退屈だ」と思うほどに成長しているということです。
 おとなから見ればまだ5歳ですし、よかれとつい子どもに干渉しがちです。何がしたいのかをしつこく聞いたり、時には、ゲームや競争でわざと負けてあげたりもするでしょう。しかし、これは5歳児が望む「遊び」ではないのです。子どもは自分を「おみそ扱い」するおとなとつきあっても、少しも楽しくありません。
 子ども同士の遊びは、対おとなとの遊びとはまったく異なります。子どもたちは勝ったり負けたり互角にぶつかり真剣です。そして、おとなから見ればたわいもない事柄を繰り返しやって面白がったり、時には、親が許さないかもしれないことをしてみたりもします。これが5歳児の友だちとの遊びです。行動を親に観察されたり、干渉されたりするのでは、遊んだ気分にならないのです。つまり、5歳児はおとなとは遊びたくないのです。

 第二は、子どもと親の立ち位置の問題です。親は子どもの発達をリードしようなどと考えないことです。五感を刺激して成長してほしいなどと考えていると、どうしても過干渉になるでしょう。子ども自身の持つ成長する力を信じましょう。友だちがいるとなれば元気に公園にも行けるのですから、5歳児としての成長は順調です。 
 親と5歳児は対等につきあうのがよいのです。「親と公園に行くくらいなら家で別のことをするほうがましだ」とはあっぱれな言い分ですし、これは成長のあかしです。このように子どもが自分の気持ちを親に伝えることができるのは素晴らしいことです。
 子どもがせっかく自分の気持ちを伝えているのですから、それを尊重しましょう。そして、親も子も運動不足気味だというのであれば、それを子どもと話し合ってみてはどうでしょう。コロナ禍のなか制約がありはしますが、「お母さんのウォーキングにつき合ってくれる?」「神社までウォーキングするけど、一緒に行く?」などと、チャレンジングな誘いをしてみるのはどうでしょう。歩数でも測ることにしたら楽しいことでしょう。

 子どもと親はともに生きる仲間です。子どもが成長するように、親も成長したいものです。重要なことは、親としての成長は、人間としての充実した生活をすることで可能になるということです。人生100年時代の自分の人生の設計をしてみましょう。子どもの見方も変わってくるでしょう。

 第三は、子どもの個性についてです。「子どもは元気で外遊びが好き」とおとなは単純に考えがちですが、どの子もそうだというわけではありません。おとなでも家の中で過ごす方が好きという人がいるように、静かに家の中にいるのが好き、砂が靴に入るのはいや、土が服につくのは嫌いというような、「お家タイプ」の子どもがいます。「もともと遊具やボール遊びは好きではありませんでした」という質問者のお子さんも、このタイプだとも言えるかもしれません。
 これは子どもの個性です。子どもだからといって「お家タイプ」では困るというわけではありません。私たちが数年にわたって成長を追跡した幼児の中にもこのタイプの子どもがいました。赤ちゃん時代は騒音や大声を出す人がいる場所が苦手でした。毎年成長を追跡しましたが、どの時点でも、いつも静かで、ゆっくり自分のペースで、慎重に課題にとりくむ子どもでした。そして、5歳時には、自慢の百科事典を見せてくれて、万国旗をひとつひとつ指して国名をいう特技を持つ少年になりました。子どもが親の期待に応えないときには、それは子どもの個性ではないか、と考えてみることも必要だと思います。