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Q. 両親ともに外国人。家庭内で話す言語に悩んでいます。 (2021.6)

夫婦二人とも、日本在住の外国人です。二人とも日本語を話しますが、生まれたばかりの赤ちゃんの子育てで悩んでいます。赤ちゃんに母国語も覚えさせたいと思っています。ただ、家庭内で母国語でしゃべると、赤ちゃんは自然と母国語しか覚えられなくなり、日本語能力の発達が遅れるのではないかと思います。どうすればいいのか悩んでいます。バイリンガルとして成長するにあたり、何かアドバイスがあればご教示よろしくお願いします。

回答者: 高橋惠子先生

 日本に住んでおいでなので、お子さんが親の母国語に加えて日本語も使えるように、つまり、バイリンガルになってほしいと、願っておいでなのですね。バイリンガルといっても、2つ(あるいはそれ以上)の言語を少しは話し理解できるという程度から、2言語とも母国語話者のように流暢に使いこなせる程度までいろいろあります。ヒトは言語を使う能力を備えて生まれてきますので、生活する環境次第でいろいろな程度のバイリンガルになれるというわけです。

 どのようしたら、どの程度厳密なバイリンガルになれるのかについて、確立した方法はないようですが、よく使われているのは、「1親1言語の法則(one parent-one language principle)」です。これは家庭の中での子どもとの交渉において、たとえば、日本語を母国語とする母親は日本語を、英語を母国語とする父親は英語を、一貫して使うという方法です。この方法によると、子どもは母親とは日本語で、父親とは英語で話すというバイリンガルになるというわけです。このように育つ子どもは多く、子どもの言語能力からして、そう難しいことではないと思われます。

 質問者の場合には、両親にとって母国語ではない日本語も使えるバイリンガルにしたいと考えておいでのようです。その場合にも、この「1親1言語の法則」に従って、両親が手分けをして、それぞれ母国語か日本語かを一貫して使うというように分担されればよいと思います。実際、日本語を母国語とする両親が、母親は英語を、父親は日本語を使うという方法で、子どもが日英のバイリンガルになったという事例が報告されています。「母語以外の言語であっても、親が自信を持ってその言語を使用すること」が重要だとされていますので、躊躇することなく実践されるとよいでしょう。

 言語を知るということは、それを使っている文化を知ることでもありますので、そのような気配りもしながら、グローバリゼーションの時代にふさわしい広い視野を持つお子さんを育てていただきたいと願っています。