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病気・予防接種

Q. 1歳半の娘。毎回病院で発熱し、予防接種が見送りになります。 (2021.7)

  • (妊娠週数・月齢)1歳6か月

1歳半になる娘がおります。予防接種を受けるため病院へ行くのですが、病院で検温するたび熱を出して予防接種が見送りになってしまいます。病院へ行くまでは元気で熱もなく、家に帰ると熱は下がり、機嫌よくしています。予防接種が進まず、困っています。病院で発熱せずにすむには、どうしたらよいでしょうか?

回答者: 横田俊一郎先生

 私のクリニックでもときどき相談を受ける質問です。ワクチンを接種できる条件として37.5度未満という規定があるので、ときどき問題が生じます。

 まず、体温について考えてみましょう。ヒトは恒温動物なので、環境温度の影響を受けにくい身体の深部の温度、たとえば心臓を流れている血液の温度を測ると、ほぼ37度程度に保たれていることがわかっています。しかし、それを測定することはできないので、皮膚に伝わった温度を測定することになり、皮下脂肪の量や血行などによって個人差が出ることになります。体温の測定場所はいくつかありますが、最も一般的な方法は腋下をしっかり閉じ、十分に温まったときの温度(平衡温)を測る方法です。測定時間は最低10分必要とされていますが、近年は予測式の体温計が使われることが多くなっています。便利ですが、少し高めあるいは低めに測定されることがあることを知っておいてください。また、鼓膜温や皮膚温を測定する機器も使われていますが、測定値が不安定なこともあり、正確な体温を知るためには、腋下で測定するのがよいとされています。高熱があるかないかは、自分の手で子どもの躯幹(身体)に触れればわかるので、普段から子どもの身体に手を触れる習慣を付けておくと役に立つことがあります。

 ご相談のお子さんは病院でだけ体温が高いということなので、病気が原因で熱が出ているとは考えにくいと思います。もちろん38度を超えるような場合には何か原因がある可能性が高いですが、37度台後半の体温は病気がなくてもよくあります。

 それでは体温が高く出る原因は何でしょうか。まずチェックすべきことの第一は体温計です。高めの値が出る体温計もあるので、いつもと同じ体温計で測定することが大切です。測り慣れた体温計を持っていき、体温を測定するのがよいでしょう。

 第二は安静にして体温を測ることです。運動直後だと体温が上昇していることがあるので、たとえば歩いて病院へ行くときには、到着した後しばらく時間をおいて、落ち着いてから測ってみてください。また、小さなお子さんは気温や室温に影響されることもよくあります。暑い中を歩いてきたり、車の中が暑かったりしても体温が上がることがあります。病院に着いたら、涼しいところで少し過ごし、それから体温測定をしてみてください。夏場の予防接種では、病院に着いたばかりのときに少し熱が高いということはよくありますが、10分くらい静かにして再測定すると平熱に戻っていることが少なくありません。

 これらでも解決しないときには、接種の数日前から体温を1日3~4回測定し、記録して病院へ行くのがよいと思います。医師にも普段の元気な様子を伝えてください。微熱のために予防接種を先延ばしすることと、早く接種して免疫をつけることとどちらが大事かを考えて接種するかどうかを決めることが大切です。医師とも相談し、子どもに問題がないのであれば接種することのメリットの方が大きいのではないでしょうか。