赤ちゃん & 子育てインフォ

ホーム妊娠・子育て相談室インターネット相談室Q&Aバックナンバー発育・発達

発育・発達

Q. 5か月の息子の後頭部が絶壁で気になります。 (2021.8)

  • (妊娠週数・月齢)5か月

5か月になる男の子を育てています。コロナ禍のため他の親子との交流がなく、先日ようやく子育て支援センターに出かけたところ、他の子に比べてうちの子の頭が、いわゆる絶壁なことに気がつきました。寝返りをするようになったのですが、うつぶせが嫌いなのか、うつぶせだとすぐに泣くため、日中はあおむけでいることが多いです。絶壁具合は自然に改善されるでしょうか? 何かよい改善策はありますでしょうか。

回答者: 横田俊一郎先生

 頭の形の相談はとても多いものの一つです。最近はヘルメットを使った治療が行われるようになり、より注目を浴びています。

 絶壁頭とは、後頭部に丸みがなく扁平になっている頭の形を指していて、専門用語では後頭部扁平と呼ばれます。早期治療が必要な原因としては頭蓋縫合早期癒合症という病気があります。5つの骨からなる頭蓋骨が早く癒合してしまい成長できなくなるために頭の形が変形する病気ですが、とても珍しい病気です。

 絶壁頭の原因の大部分は、赤ちゃんをいつもあおむけに寝かせているために後頭部に常に圧力がかかって扁平になることです。子宮内での影響や出産時の影響で、新生児期から後頭部が扁平になっているために、あおむけで寝るのが安定しているということが原因の一つとも考えられます。

 日本人は絶壁頭が比較的多く、遺伝があるのではないかとよく言われますが、遺伝性については明らかになっていないようです。家系内での寝かせ方などの習慣が関係している可能性があるのかもしれません。成長発達や運動機能に影響がないかと心配されることも多いですが、とくに日本人に関して影響が大きいという報告はありませんし、日常の小児の診療で影響があると感じることもほとんどありません。しかし、海外では神経・運動の発達に遅れを伴うという報告もあるようで、発達遅延との関連性が注目されています。

 対策の第一は赤ちゃんの体の向きを変えて、いつも後頭部に圧力がかからないようにすることです。とくに頭の骨が軟らかい生後3か月未満では、抱っこをする時間を長くする、顔を横に向けておくなどの対策があります。うつぶせ寝も頭の形のためにはよいのですが、乳幼児突然死症候群のリスクを増やすことが明らかになっているので、しっかり観察できるとき以外は行わないことが大切です。

 もう一つの対策は、最近注目を集めているヘルメット治療です。米国で1990年代から始まった治療法で、赤ちゃんの頭の形に合わせたオーダーメイドの矯正用ヘルメットを約6か月間かぶることで、頭のゆがみの改善を図る方法です。現在では日本でも、多くの病院で「赤ちゃんの頭の形外来」というような名称で診療が行われています。時間と費用がかかることを承知の上で、変形が高度の場合には考えてみる治療です。まだ頭蓋骨が軟らかい生後2か月から6か月の間に治療を始めるとよいと言われています。

 かかりつけ医に相談してみるのがよいと思いますが、ヘルメット治療はまだ十分に知られていない治療法でもあるので、十分な情報が得られないことがあります。専門外来のある医療機関に直接相談してみる、あるいは矯正ヘルメットを開発した企業が運営するメール相談や電話相談などを利用する、などの方法も検討してみてください。