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母乳とミルク・授乳

Q. 3か月の子の母。喫煙を再開したせいか母乳がほとんど出ません。 (2022.1)

  • (妊娠週数・月齢)3か月

生後3か月の第一子の男の子を育てています。最初は、胸もすごく張って、母乳とミルクの混合で授乳をしていました。けれども実家から戻ってきた生後2か月くらいから、夜中と朝だけ母乳にし、それ以外はミルクのみの授乳にしていました。妊娠前は喫煙者だったこともあり、喫煙を再開してしまい、現在、多い日で1日10本程度吸ってしまっています。それが原因なのか、いま、母乳がほとんど出ません。禁煙したら、また出るようになるのでしょうか? 母乳を増やす方法はありますか?

回答者: 市川香織先生

 3か月のお子さんの授乳中で、喫煙を再開したことから、母乳の分泌が減ってしまったのではないかとお悩みなのですね。

 母乳がたくさん作られるには、赤ちゃんがおっぱいを吸う刺激が必要です。生まれてすぐの赤ちゃんは吸う力も弱く、消化機能も未熟なので、1回の授乳でたくさんの母乳を飲むことができません。ですから、頻繁に母乳を欲しがり、1日10回以上授乳することもあります。しかし、この頻繁に赤ちゃんがおっぱいを吸うという刺激が大切なのです。頻繁な刺激によって、お母様のからだもそれに反応して、母乳をたくさん作るようになるのです。赤ちゃんが1回の授乳でたくさん飲めるようになると、授乳のたびにおっぱいも空になります。母乳が残っていると母乳の生成が抑えられてしまうので、飲み切ってもらうと、また次に備えて母乳が作られていく仕組みです。

 赤ちゃんの成長に伴って、授乳の回数は少し減ってきますが、母乳は人工乳に比べて消化がよいので、赤ちゃんが1回に十分な量を飲めるようになっても2~3時間で消化され、1日の授乳回数は7~8回程度となります。現在、母乳と人工乳の混合栄養ということですので、1日の授乳回数はこのくらいなのではないでしょうか。実家から自宅に戻られた生後2か月くらいから、夜中と朝だけ母乳にされ、それ以外をミルクのみにされたということなので、赤ちゃんがおっぱいを吸う刺激が減り、それに伴って母乳を作るホルモンの分泌も減って、母乳の量自体が減ったと考えられます。3か月くらいになると、出産直後のような乳房の張り感もなくなってくるので、張っていないから出なくなったと思いがちです。

 また、喫煙を再開されたことで、その影響についてもご心配されていますね。たしかに、ご心配のとおりで、授乳期間中の母親が喫煙すると、母乳を分泌するホルモンが減り、母乳の出る期間が短くなるという報告があります。ですので、喫煙によって母乳が減ってしまったということはありうるでしょう。また、タバコに含まれるニコチンは、母乳へ移行します。母乳中のニコチンの濃度は、通常の体内の血液中の濃度に比べ3倍も高いと言われていますので、お母様の母乳分泌が低下するという影響のみならず、赤ちゃんの健康への影響を考えると、禁煙していただくのが最良の選択肢です。

 喫煙を再開してしまったのは、何かしらのストレスがかかっているということでしょうか。生後3か月くらいのこの時期は、赤ちゃんの反応もまだ少なく、赤ちゃんを連れて出歩ける場所もあまりないことから、社会と切り離されてしまったような孤独感を感じやすい時期です。ただでさえストレスが高まる時期に、現在はコロナ禍によって他者との交流が以前と同じようにできなかったり、母子ともに感染のリスクを考えながら行動したりと、ストレスはかかりやすくなっていますよね。しかし、ストレス解消のために喫煙を再開すると、その量は増えていってしまうのではないでしょうか。できれば、ここはすぱっと禁煙し、別のストレス解消方法を取りましょう。

 禁煙し、授乳回数を増やすことで、母乳分泌は徐々にですが改善が期待できます。自分一人でがんばるだけでなく、地域で母乳育児相談をしている開業助産師に乳房の状態を診てもらい、分泌を増やすケアの方法を教えてもらうのもよいでしょう。日ごろ育児で気になっていることも、助産師に相談できれば、心も軽くなると思います。一人で抱え込まずに専門家の力も借りて、お母様自身が楽になれるようケアしてくださいね。