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ママ・パパの気持ち

Q. 夫の反対で3人目を中絶。赤ちゃんのところに行きたいと思ってしまいます。 (2022.4)

3人目の妊娠でしたが経済的な理由で夫に猛反対され、中絶させられました。でも結局はその子を最後に守ってあげられなかったのは私です。手術から1週間が経ちましたが、赤ちゃんのところに行きたいと思ってしまいます。上の子どもたちは、きっとこれからたくさんの人に恵まれ、幸せなことも待っていると思います。夫もしかりです。でもおなかにいた赤ちゃんは、誰もいないところに一人ぼっちで行ってしまったんです。そう思うと、毎日苦しくてたまりません。

回答者: 帆足暁子先生

 1週間、苦しい日々を過ごしてこられましたね。3人目の赤ちゃんと一緒に、あなたの気持ちもいってしまったようです。一人ぼっちの赤ちゃん。あなたは、自分が守ってあげられなかった、という思いから、次の世界にいった赤ちゃんと一緒にいてあげたいと思ってしまうのですね。それだけ、今回のことはあなたにとってつらい出来事でした。あなたの思いは3人目の赤ちゃんに向かっているようです。

 いま、一番苦しいのはあなたです。
 その苦しさを解消することができるのはあなただけです。苦しまなくてよい、と自分を許すことができるのはあなただけだからです。

 過去に思いが向かうと後悔ばかりで許すことは難しいかもしれません。過去は変えられない事実だからです。でも、未来に思いが向かうと、事実はこれから自分で作り出せるので、自分を許すチャンスがたくさんあります。

 生きているとさまざまなことが起きてきます。
 あなたが結婚されたときの幸せな思いや初めての赤ちゃんが生まれたときの嬉しさ、次の赤ちゃんが生まれたときの喜び。そして、今回の3人目の赤ちゃんのことでの苦しみ。
 幸せなことばかりではありません。

 いまは幸せなことが待っていると思える上の子どもたちにも、いつか、つらく苦しいことが起きてくるでしょう。そのとき、子どもたちは誰よりもあなたに守ってもらおうとします。そして、あなたもふたりの子どもたちを守りたいと思うでしょう。今回、守ってあげられなかったことをこんなに苦しいほどに思うあなたですから、ふたりのお子さんに何か起きれば、子どもたちを守りたい気持ちはきっと人一倍強いのではないでしょうか。あなたはこれからふたりのお子さんを守ることができます。

 もちろん、生きているからこその幸せな思いや苦しみとの出逢いです。逆に、いってしまったことによって、幸せな思いにも出逢えませんが、生きていないからこそ、これからの苦しみにも出逢わずにすみます。生きていてもいってしまっても、どちらにも両面あります。

 運命論者ではありませんが、人生の中に起きてくることはどのようなことでも意味があると思います。こんなにあなたを苦しめることであっても、意味がある。いますぐではないかもしれないけれど、起きたことは必ずあなたの糧になり、未来を作っていく。

 守れなかったことを苦しみ続けていたら「守られなかった一人ぼっちの赤ちゃん」になってしまいます。でも、守れなかったけれど愛していたこと、赤ちゃんがいたことでさらに強くなれたり、経済力をつけたりできたりしたら、「愛されてエネルギーを与えてくれた赤ちゃん」になることができます。

 そういう位置づけの「赤ちゃん」にしてあげられるのは、あなただけです。

 人間は、理解はできても納得することは難しい。苦しくて生活も壊れてしまいそうでしたら、ひとりで苦しまずに子ども家庭支援センターや保健センター、心理士のいるクリニックなどに継続的な相談をされてみてください。

 ここにご相談を送ることができたあなたです。大丈夫。きっと苦しみから解放されます。