赤ちゃん & 子育てインフォ

ホーム妊娠・子育て相談室インターネット相談室Q&Aバックナンバーママ・パパの気持ち

ママ・パパの気持ち

Q. 子どもにイライラをぶつける自分がイヤで仕方ありません。 (2022.9)

  • (妊娠週数・月齢)2歳

2歳7か月になる男の子と、10か月になる女の子がいます。私も夫も地元から離れ、2人で育児をしています。夫の仕事が忙しいときなど、育児で切羽詰まると、子どもから逃げるように1人でトイレに閉じこもったり、イライラをあからさまに顔や行動に出したり、絶叫したり、子どもを傷つける行動をしてしまいます。最近では、私がイラつくと2歳の子に「ごめんね」、「ママ大好きなの」と言われるようになり、それがどうしようもなくつらいです。私は、子どものころ母のイラつきを察知しやすく、母に拒絶されているときの不安感や悲しさをいまも覚えており、自分が子どもに同じことをしているのだという現実に涙が止まらなくなります。
最低な親だと思いますが、それではいけないとも思い、児童館や公園に行ったり、極力第三者と関わるようにしています。でも、不意にどうしようもなく虚しくなり、自分が価値のない人間に思えます。夫はとても優しく、私を大切に思ってくれています。両親もそうです。それなのに、自分は生きているだけでお金ばかり使い、子どもにキレないようにしながら、それでもキレてしまう、どうしようもない存在に思えます。考えすぎ、真面目、完璧主義と人からは言われ、自分でもなんとなく納得しているのですが、悲しさを止められません。なぜ、私はこんなふうになってしまったのでしょうか。

回答者: 帆足暁子先生

 あなたは、一生懸命良い母親になろうと考えて実行しています。「児童館や公園に行ったり」されることは子どもにとって楽しいことですし、「極力第三者と関わるように」されることは、自分に自信がないときに自分をコントロールするのに有効な方法です。あなたはご自分を理解できていますし、そのための対策をとられています。こんなに良い母親はいません。

 そのうえ、「夫はとても優しく、私を大切に思ってくれています。両親もそうです。」とあなたは周りの家族からご自分が大切にされていることを実感されてもいます。

 それなのに「夫の仕事が忙しいときなど、育児で切羽詰まると」あなたは自分自身をコントロールできなくなります。

 あなたが書かれたように、子どもを傷つける行動をしてしまうあなたは、「良い母親」のあなたとはまるで違う人間のようです。

 そうです。「なぜ、私はこんなふうになってしまったのでしょうか」がポイントです。
 そこに、あなたが自分を取り戻すチャンスがあります。

 あなたは、「不意にどうしようもなく虚しくなり、自分が価値のない人間」に思えたり、「自分は生きているだけでお金ばかり使い、子どもにキレないようにしながら、それでもキレてしまう、どうしようもない存在」とも思っています。これは、「今」のあなたが「過去」から抱えている思いが関係しています。

 あなたは「子どものころ母のイラつきを察知しやすく、母に拒絶されているときの不安感や悲しさをいまも覚えて」います。あなたは深く傷つきました。あなたは誰かに助けてもらいたかったのではないでしょうか。誰かに安心させてもらいたかったのではないでしょうか。でも誰もあなたの思いに気づき、あなたを安心させてあげることはできませんでした。
 あなたはその思いを抱えながらも大人になり、そして母親になりました。

 あなたが「母親」になったとき、あなたの心の中にいる傷ついたままの「子ども」のあなたは、これまでのようにこころの中に抱えていることができなくなりました。
 あなたの母親の記憶が引き出され、あなたがしたいわけではないのに、「あなたの母親」をしてしまう。「子どものあなた」を傷つけた母親と同じことをしていること、そして、自分の子どもに、自分と同じ思いをさせていることに、あなたは愕然としてご自分を否定してしまいます。それが今のあなただと思います。

 とてもつらいことです。
 でも、そのつらさには、助けてもらいたかった「子ども」のあなたがいて、誰かが「子ども」であるあなたごと、あなたのお子さんを助けてくれることを求めているように思うのです。安心させてほしい「子ども」のあなたはずっと残されたままですから。

 そして「母親」であるあなたが「子どもたち」の代弁者として、助けを求めています。

 今、必要なことはあなたが抱えている、傷ついて安心させてほしい「子ども」のあなたごと、「母親」であるあなたを受けとめ、あなたを理解しようとする大人の存在です。あなたの中にある思いを聞いて一緒に整理し、あなたが自分を取り戻すことを一緒にしてくれる人の存在です。

 担当の保健師さんや子ども家庭支援センターのスタッフなど、あなたが信頼できると思える専門家に助けてもらいませんか。