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母乳とミルク・授乳

Q. 産後1か月での乳腺炎後、母乳の量が激減。どうしたら母乳育児を続けられますか? (2022.10)

  • (妊娠週数・月齢)1か月

ドイツで出産し、生後1か月の女の子を育てています。母乳育児が推奨されていることもあり、出産直後からがんばって授乳と搾乳をした結果、母乳の出がよかったらしく、産後1週間ほどで、授乳の合間の搾乳で1回平均180mLも搾乳できるようになりました。しかし、さすがに母乳過多だったのか、よく張って詰まりやすく、生後1か月目前に乳腺炎を発症。夜中に救急へ行き、熱もあったためそのまま入院しました。解熱剤を飲み抗菌薬を点滴し、翌日昼に退院しましたが、入院時から約10時間ほど授乳搾乳をしなかったら、それ以降母乳量が激減。退院前の搾乳量は250mLほどでしたが、現在では80〜90mLほどです。娘もおなかがすいているのか、ずっとおっぱいを吸い続けたり、1時間ほどで欲しがるようになってしまいました。そのたびにこまめに吸わせ、ミルクは足さず、たまに搾乳して冷凍してあった母乳を50mL程度足したりしています。退院から10日以上たったいまでも搾乳できる母乳量は増えず、このまま出なくなってしまうのでは?と心配です。乳腺炎になった後は母乳量が減るのでしょうか? 長く授乳しなかったから減ったのでしょうか? 今後、母乳量が増えることはありますか? 増やすにはどうしたらよいでしょうか? 母乳育児がんばりたいです。

回答者: 市川香織先生

 乳腺炎後に母乳の分泌量が減ってしまったと感じておられるのですね。産後1週間で授乳の合間の搾乳量が180mLだったことから、産後すぐから、かなり母乳分泌がよかったことがうかがえます。産後1か月は分泌量も増えるころなので、赤ちゃんの飲む量を超えて母乳が作られてしまったのですね。

 乳腺炎を起こすと、その後の分泌は低下します。さらに、入院によって授乳間隔があいてしまったため、乳汁中に含まれる母乳を作る働きを抑えるタンパクによって、母乳の作られる量が減ってしまったのでしょう。たしかに搾乳量としては減っていますので、1回に作られる母乳量は減っています。しかし、頻回ではあるものの赤ちゃんは直接母乳を吸ってくれていますので、徐々に授乳のリズムができてくると考えられます。

 いまの授乳ペースで、お母様は疲れていらっしゃいませんか。疲労やストレスは母乳分泌を低下させますので、ご自身の体調回復も大切です。家事や授乳以外の育児を家族に頼んで、お母様の体を休める時間も作りましょう。また、食事も消化のよいものをしっかりと食べ、水分も十分に取りましょう。血液循環をよくすることも母乳の分泌をよくしますので、温かいスープやハーブティなどを召し上がったり、体を冷やさないよう服装に気をつけたり、半身浴や入浴でしっかりと体を温めることもよいですね。乳腺炎を起こしたときは、体を温めると悪化しますが、今は循環をよくして分泌を増やす工夫をしていきましょう。

 また、赤ちゃんの吸い方や姿勢もときどきチェックしましょう。乳頭のくわえ方が浅くなってしまうと母乳を飲みとるまでに時間がかかったりします。お互い楽な姿勢でリラックスして授乳できること、赤ちゃんが乳頭の正面から吸いつけること、大きなお口をあけて乳輪までしっかりとくわえリズミカルにごくんごくんと飲めていことがポイントです。

 そして、生後3か月くらいになると、乳房の張り感はなくなってくるのが普通です。搾乳してもあまり搾乳できなくなりますが、赤ちゃんが吸うとちゃんと出るという状態です。赤ちゃんが母乳を飲んで満足しているようなら、欲しい量が作られていると考えてよいでしょう。もし、1時間おきの頻回授乳が続いたり、ずっと吸い続けている状態であれば、助産師に分泌量や授乳の様子をみてもらい、アドバイスをもらうことをお勧めします。乳腺炎が再発することなく、母乳育児が続けられるとよいですね。