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ママ・パパの気持ち

Q. 1歳の娘が汚したりすることが許せません (2023.2)

  • (妊娠週数・月齢)1歳4か月

1歳4か月の女の子を育てています。私自身に潔癖気味なところがあり、娘がご飯を口から出して床に散らかしたり、何でも口に入れたりなめまわしたりすることに嫌悪感を感じ「○○しないでって言ったでしょ」「いいかげんにしてよ」など、きつい口調で叱ってしまいます。泣かせてしまったことも何度もあります。掃除や洗濯の手間を増やしたくないとも思ってしまい、手づかみ食べや砂場遊びをさせることが憂鬱です。赤ちゃんなのだから汚すのも、何でもなめまわすのも当たり前、親の思いどおりになるわけがないし思いどおりにしてもいけないのだとわかってはいるのですが、イライラしてしまいます。なぜ私は、汚したり何でもなめまわすのは赤ちゃんなのだから当たり前と思えないのか、とことん娘のやりたいようにさせてやれないのかと毎日自己嫌悪に陥ります。おおらかに構えられない自分は母親失格だなと情けないです。日々小言ばかりで娘を抑圧しているのではないかと、娘にも申し訳なく思います。どのように自分の気持ちに折り合いをつけていったらよいのでしょうか。

回答者: 帆足暁子先生

 あなたは娘さんにいろいろな思いを持っています。でもそれらの思いがあなたを傷つけているようです。このつらい思いから抜け出るために、気持ちに折り合いをつけたいというあなたの切実な思いも伝わってきます。

 あなたの思いを整理しましょう。

 あなたの気持ちで一番はっきりしていることは、娘さんがご飯を口から出して床に散らかしたり、何でも口に入れたりなめまわしたりすることに対する嫌悪感です。「やってほしくない」というあなたの気持ちに応えてくれないからいらいらしてしまいます。同時に「汚したり何でもなめまわすのは赤ちゃんなのだから当たり前と思えない自分」「とことん娘のやりたいようにさせてやれない自分」を嫌悪し、母親失格だと思ってしまいます。さらに、娘さんを抑圧しているのではないかと申し訳ない思いにもなっています。

 あなたはちゃんと理性的に、赤ちゃんなのだから仕方がないこと、自分の思い通りになるわけがないこと、思い通りにさせてはいけないこと、をわかっています。もちろん潔癖症気味ということで、気になり続けてしまうことはあります。でも、一番つらいのは、娘さんの行動への「嫌悪感」ではなく、きつい口調で泣かせてしまうくらい叱ってしまうこと、ではないでしょうか。

 つまり、わかっているのだから、嫌悪感があっても「赤ちゃんだから仕方がない」と自分をコントロールしてあきらめる気持ちになってもよいのです。でも、そうではなく、何度も娘さんを泣かせてしまうくらい自分の感情に振り回されてしまって、自分をコントロールできていません。人間は自分をコントロールできていると自信が持てます。自分をコントロールできる、ということが気持ちに折り合いをつけるということにつながっています。

 では、なぜあなたが自分の感情に振り回されてしまうのでしょうか。それには必ず意味があります。

 要因はいくつか考えられます。
 まずは、あなたがいまの生活にゆとりを持てていないからです。ゆとりがないと、せっかく持っている理性が働かず、感情に流されてしまいやすくなります。

 あるいは、子ども時代のあなたがされてきたことだからかもしれません。あなたがきつい口調で叱られたり、小言ばかり言われて抑圧されたりしてきたために記憶に強く残ってしまっているから、同じようなシチュエーションになると、その記憶に引っ張られて流されてしまうのです。

 あるいは、潔癖症気味の基盤に感覚過敏の傾向があり、感覚として不快で仕方がなく、受け入れられないから強い拒絶になっているのかもしれません。

 気持ちに折り合いをつけるには、これらの要因のどれが自分に当てはまるのかを分析して、たとえばゆとりがあるように生活スタイルを工夫したり、過去の思いを誰かに話して閉じ込めていた記憶を解き放つ機会をつくったり、感覚に課題があればその行動を見ないようにしたり、食事や遊ぶ前に新聞を一面に敷いて、終ったら丸めて新聞紙ごと捨てられるようにしたり、といったことも、気持ちを楽にすることができるかもしれません。

 どうしても自分をコントロールすることが難しいとなった場合には、離れる時間をつくることも効果的です。短い間であれば自分をコントロールしやすいからです。一時保育や保健センター等での相談、保育所入所を考えることもよい方法です。

 もしくは、娘さんはあなたから強い注目が欲しくて、あえてあなたが嫌なことを察知して繰り返すのかもしれません。これは叱り続ければ逆効果で増長してしまいます。この場合の対応は肯定的無視です。

 自分の気持ちに折り合いをつけるのは一人ではなかなかに難しいものです。保健センターや子ども家庭支援センターなどの、あなたが信頼できるスタッフに手伝ってもらうことも大切です。あなたが、自分の気持ちに折り合いをつけようと思ったときから、あなたは解決の方向に歩きだしています。前に進もうとするご自分を信頼してください。