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病気・予防接種

Q. 生後7~8か月で海外へ。予防接種の受け方を教えてください。 (2023.5)

  • (妊娠週数・月齢)2か月

現在生後2か月半の赤ちゃんを育てていて、今後、中国赴任中の夫のところへ行く予定です。予防接種について質問なのですが、海外渡航に際して、推奨される予防接種は全部受けた方がよいのでしょうか? たとえば、中国だとA型肝炎、狂犬病などです。予防接種がひと通り落ち着く7~8か月ごろに渡航しようかと考えていて、その後の予防接種は一時帰国して受ける予定です。何をどのように受けてから渡航すればよいのでしょうか。

回答者: 横田俊一郎先生

 新型コロナウイルス感染症も落ち着いてきて、これから海外へ出かける方も増えてくると思います。乳児が受けるべき予防接種は、どこの国でもほぼ同じですので、まず日本で受けられる定期予防接種をできるだけ早く接種しておくことが原則です。

 予防接種のスケジュールについては、各家庭に配布されている「予防接種と子どもの健康」や、「日本小児科学会」や「VPDを知って、子どもを守ろうの会」のスケジュールを参考にするとよいと思います。ご相談のお子さんは2か月半ということですが、1回目のワクチン接種は終わったでしょうか。乳児の予防接種は生後2か月から始まりますので、いまから始めれば7〜8か月ごろの渡航予定ですとBCGまでの予防接種はすべて接種できます。追加接種のあるものは1歳過ぎになりますが、追加接種は多少時間があいても効果に問題はありませんので、しばらく余裕があると考えてください。また、1歳を過ぎると生ワクチンである「麻しん風しん」「水ぼうそう」「おたふくかぜ」の接種ができるようになりますので、これらは1歳を過ぎたらなるべく早く接種しておきましょう。渡航先で接種してもよいですし、一時帰国して接種してもかまいません。おたふくかぜワクチンは任意接種ですが、接種することをお勧めします。麻しんの流行している地域へ出かけるときには、1歳前にかかる可能性もあるので、生後9か月すぎに接種しておくことも考えられます。かかりつけ医と相談してください。

 これらの予防接種以外で考えておくべきものの1つに日本脳炎があります。日本では3歳が標準的な接種年齢となっていますが、生後6か月から接種することができます。中国南部などで日本脳炎が比較的多い地域へ行くのであれば、1歳前に接種してから渡航するのがよいと思います。

 A型肝炎は経口感染する肝炎で、日本では多くありませんが海外で感染することは珍しくありません。任意接種で、初回は2~4週間隔で2回、初回接種後24週を経過したあとに追加接種をします。長期間海外に滞在する場合には接種が勧められています。接種する年齢に制限はないことになっていますが、WHOは1歳以上での接種を勧めています。渡航前に接種するかどうかは、渡航先の状況も踏まえてかかりつけ医と相談するのがよいでしょう。

 狂犬病は狂犬病ウイルスによる感染症で、このウイルスが感染している犬などの哺乳動物に噛まれることによって発病します。感染すれば治療法はなく、ほぼ100%死亡するという病気ですが、幸い現在の日本ではウイルスは存在せず、国内で感染することはありません。しかし、世界では3万人を超える患者が毎年報告されています。中国など狂犬病のある地域へ長期間出かけるときには接種が勧められています。ワクチンは全年齢で接種することができ、1か月以内に3回接種のスケジュールが組まれます。

 また、インフルエンザシーズンの前であれば、インフルエンザワクチンを接種していくことも考慮すべきです。他にもワクチンのある病気はありますが、乳児ではここで説明したワクチンで十分だと思います。渡航先の情報を収集してかかりつけ医と相談し、同時接種を積極的に取り入れることで、できるだけ早めに接種しておくことをお勧めします。

日本小児科学会の予防接種スケジュール
https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20230413_vaccine_schedule.pdf

VPDを知って、子どもを守ろうの会のスケジュール
https://www.know-vpd.jp/children/