母乳とミルク・授乳
Q. 出産から1か月が過ぎ、母乳が出すぎて困っています。 (2023.6)
- (妊娠週数・月齢)1か月
退院後からすごい量の母乳が出るようになり、赤ちゃんが飲みきれずに1回の授乳で4~5回ほどむせてしまい、咳をして泣きます。おっぱいも乳腺炎直前のようになり、出産後1週間で助産院の母乳外来に行き、激痛のマッサージを受けたのに、そのあともすぐに駆け込むことになりました。解決策を尋ねても具体的なことを教えてもらえず「定期的にここに掃除においで」と言われるのみ。1回5,000円もする母乳外来にすでに3回も行ったのですが、今後もそれが続くと思うと出費が厳しく、マッサージに耐えるのもつらいです。娘は新生児のころから夜に長時間まとめて寝ます。日中はずっと起きていて(12時間ほど起きていることも)、1時間ともたずにおっぱいを欲しがるという感じです。私も日中の疲れで夜は眠り込んでしまい、泣き声で起きたときにはすでに前回の授乳から5時間があいていて、おっぱいがカチコチです。現在、生後1か月と1週間ほどたったところですが、いまもかなり張っています。おとといには乳腺炎なのか?と思うような39度の高熱も出ました。必死に飲んでもらっていますが、張りのひどい左胸は、20〜30分ゴクゴクと飲ませてもふわっとはなりません。本で見た母乳量の減らし方で、片乳ずつ飲ませ、飲ませていない方は保冷剤で冷やす方法も2〜3日やってみましたが、張りがひどくなって手に負えなくなるだけでした。本当に困っています。
回答者: 市川香織先生
産後1か月、母乳が出すぎるためにつらい思いをされているのですね。母乳の出が悪い場合は周囲から心配されますが、出すぎる場合はあまり気にかけてもらえず、つらい状態で過ごされている方も多いですね。
退院後から赤ちゃんがむせるほど母乳が出ているというのは、かなり「過分泌」状態と言えるでしょう。授乳の間隔があいてしまうと乳腺炎のように熱も出て、赤ちゃんに飲んでもらっても楽にならないとのこと。体力も奪われますし、かなり疲労困憊しておられますね。助産院での乳房マッサージも受けておられるので、授乳姿勢やくわえさせ方も見てもらっているでしょうか。赤ちゃんに飲ませる前に少しだけ乳房の圧を抜くように軽く搾乳してからくわえさせたり、授乳姿勢としては、お母様が後ろに寄りかかるようなリクライニング姿勢をとったりすると、赤ちゃんもむせにくくなりますよ。
そして、過分泌の場合の授乳方法としてまず試したいのは、「片方のみの授乳」です。片側だけをしっかり飲ませて、すっきりさせる方法です。片側授乳によって、授乳の後半で分泌される脂肪とカロリーが豊富な母乳を赤ちゃんが飲み取れると赤ちゃんは満足しますし、体重も順調に増えます。その際、飲ませないほうの乳房は3~4時間ほどの一定時間授乳せず、張りがつらい場合じんわりと冷やします。実際、その方法も試されたようですが、あまり有効ではなく、かえって張りがひどくなってしまったのですね。
できる限りの手段は試していると思われましたので、次に取るべき手は、お母様の身体的な理由として何か原因があるのか探すこと、もしくは、過分泌を抑える薬剤を投与することです。いずれにしても病院を受診することが必要になりますが、もうその段階であろうと思われます。ホルモン異常が起きているためか、何か疾患が隠れていないかを診てもらっておくことは大切なことです。もし、原因疾患がなく、過分泌で乳腺炎を繰り返してしまうようであれば、赤ちゃんへの影響がなく乳汁分泌を抑える薬剤を処方してもらうことで、楽になり、授乳も搾乳もしやすくなります。まずは、出産した産科に早めに相談していただくとよいと思います。そのうえで、そちらで診察を受けるか、あるいは乳腺炎の対応が可能な施設を紹介してもらうとよいでしょう。一日も早く症状が軽くなるとよいですね。