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ママ・パパの気持ち

Q. 妻の連れ子に対する接し方で悩んでいます。 (2023.6)

  • (妊娠週数・月齢)4歳

妻と知り合った当初、妻と元夫の子(現在の娘)は2歳でした。少しずつ会う機会が増え、結婚したのが2年前です。そこから現在に至るまで妻と共に子育てをしているのですが、娘を愛しているがゆえに、自分に甘えてくれないときにもどかしさを感じてしまいます。普段は来てくれるのですが、たとえば疲れていて甘えたいときや何かを頼みたいときは、いつも私ではなく妻のところに行きます。子どもはみんな母親が好きなのは当たり前だとは思うのですが、連れ子という理由なのかどうかはわかりませんが、私はそれに対して「なんでママばっかりなんだ」と思ってしまい、結果、娘に対して「できることは自分でやりなさい」と叱ってしまうことが多々あります。「自分のことは自分でやるべき」という考えから、それを娘に伝えているつもりですが、心のどこかで正直それだけではないのかもと思ったりもします。自分は両親に厳しく育てられたことをありがたいと感じているものの、それが娘にとってもよいことだとは思っていません。けれども気付けばすぐに口を挟んだり、叱ったりしてしまい、自分の余裕のなさが情けなくなります。
また、つい最近2人目の娘が生まれ、妻から「2人目の子と接している方が楽しそう」と言われ、情けない気持ちでいっぱいです。うまくいかないこともあると自分に言い聞かせていたものの、上の娘に対していまは「無償の愛情」を捧げられておらず、どういう気持ちで、どう接すればよいのかがわかりません。

回答者: 高橋惠子先生

 まず、愛着について以下の3点を理解しましょう。

 第一に、子どもは自分の安全・安心を確保するために援助してほしい人、すなわち、愛着の対象を自ら選ぶことです。多くの子どもは1歳半くらいまでに、愛着の対象を自分で決めて、何か不安な状態になったときにはその人に助けを求めて切り抜けます。こうして、子どもは平穏な日々を送ることができます。これが、愛着の重要な働きです。

 第二に、多くの子どもは数人の愛着の対象を持っていること、そして、この数人には重要さについてランクがつけられていることです。つまり、もっとも重要な人、二番、三番などと数人の対象を決めて持っているということです。自分の安全・安心を確かにするために、第一位の人の都合がつかない場合にも、困らないようにしているのだと考えられます。

 第三に、母親が主な養育者である場合には、8割以上の子どもが愛着の対象の第一位の人として母親を選んでいることです。しかし、「おばあちゃん子」や「パパっ子」が存在するように、母親が主に世話をしていても、祖母や父親が一番で、母親は二番、三番にされている場合もあります。そして、なぜ母親が選ばれないことがあるのかはまだ解明されていません。

 以上のような愛着の性質から見ますと、ご質問の娘-父関係がよく理解できるでしょう。お父さんが娘さんに出会われたときには、彼女はすでに愛着の対象を決めていたことがわかります。母親を一番にした愛着を持っているのでしょう。それは、「疲れていて甘えたいときや何かを頼みたいとき」は、母親のところに行くことからわかります。そして、娘さんは自分が元気なときには父親のところにやってきますので、自分をかわいがってくれる父親の存在をしっかり受け入れていることもわかります。娘さんはこのような状態にいますので、父親が自分も一番になりたいとがんばると、困惑し負担に感じることでしょう。

 調査をしてみますと、血縁のある場合でも、父親と子どもとの関係は母子関係のように密にはならない傾向が見られます。したがって、母親と競うのではなく、父親ならではの“出番”を考えるのがよいと思います。たとえば、子どもと一緒に遊ぶ、一緒に本を読む、あるいは、図書館などにふたりで出かけるなど、“物”や“知識”を媒介にした、幼児と父親ならではの交流の方法を見つけて、ふたりで楽しんでください。そして、大切なことは父‐娘関係が生涯続くということです。「これについてはお父さんの考えを聞きたい」と娘さんが希望するような、そして、それに応える気持ちの余裕や能力を備えた人間であり続けることこそが、父親として重要ではないかと考えます。

 誕生した赤ちゃんにやさしくなるのは、人間としてきわめて自然なことでしょう。娘さんにも声をかけて、幼い新メンバーを家族として皆で受け入れるのがよいと思います。そして、赤ちゃんのお世話は母親に任せましょう。いまが、幼児期の娘-父関係を発展させるよい時期だと考えます。