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ママ・パパの気持ち

Q. 2歳児の母。仕事と子育ての両立が難しく、心が折れそうです。 (2024.2)

  • (妊娠週数・月齢)2歳

2歳3か月の娘を職場の託児所に預け、フルタイムで働いています。先日、職場での行事や自分自身のタスクが重なっていた日に、娘が発熱して託児所から呼び出しがあり、早退して病院を受診、その後帰宅しました。帰宅後には解熱し、平熱となった娘はおもちゃで遊ぶのに夢中で、用意した昼食を食べないと断固拒否。それに対してイライラし「ママも仕事したかった。帰りたくなかったのにあなたの熱で帰らなきゃいけなくなった」と怒鳴ってしまいました。職場への申し訳なさや自分のタスクをやりきれなかった悔しさに加えて、娘に当たってしまったことへの罪悪感でいっぱいです。夫は簡単には仕事を休めず、仕事中は外部からの連絡を受けることが難しい状況、祖父母も近所には住んでいないうえ仕事もしているため、急遽のお迎え、預かりなどは頼めません。
出産後半年で、夫の仕事の都合で引っ越し、私はそれまでの仕事を辞めて専業主婦をしていました。しかし、娘と常に一緒にいることに煮詰まってしまい、今年の4月から再就職しました。フルタイムでないと認可保育園は難しいと言われ、フルタイムで再就職しましたが、認可保育園に入れる見込みも立たず、職場の託児所を利用しており、育児と仕事の両立に心が折れかけています。母親としても社会人としても中途半端で消えてしまいたいです。娘自身は託児所に楽しく通っており、私以外の人との関わりが増えたことはとても良かったと思っていますが、私がフルタイムで働いているために朝は早く、夜は遅くなり、本当に娘にとって良い生活なのかどうか自信が持てません。

回答者: 高橋惠子先生

 質問者はフルタイムで働きながら、しかも、一人で、育児・家事をこなしておいでです。つらいと悲鳴をあげ、追い詰められた気持ちになるのは当然だと思います。一人で育児をすることを「ワンオペ育児」と呼んでその難しさが指摘されていますが、質問者は「ワンオペ育児」のうえにフルタイムで働いてもおいでなのですから大変でしょう。母親でも自分の仕事を持つことは当然であり、素晴らしいことだと思いますが、少なくとも次の3点について検討してみてはいかがでしょう。
 第一は、子どもの幸せを最優先するべきだということです。母親が働いても、子どもの生活にしわ寄せがいかないようにすることが必要です。母親が無理をしていると気持ちに余裕がなくなり、「あなたのせいで」などと子どもを責めたり、八つ当たりをしがちです。母親が働いていても、子どもは毎日楽しく生活できるべきです。そのためには、母親には子どもの成長を喜ぶ心身の余裕が必要です。
 第二は、フルタイムで働きながら、乳幼児を育てるためには、育児・家事を手伝ってくれる協力者が必要だということです。夫からの支援を得られるように、よく話し合ってみてはいかがでしょう。もしも夫の育児・家事への参加があまり期待できないようであるなら、育児・家事の「代行サービス」を利用するという方法もあります。質問者には収入があるのですから、費用など調べてみてはいかがでしょう。誰からのサポートもなく、フルタイムで働きながら、乳幼児を育てるのは不可能です。
 第三は、現在のあなたの仕事を見直してみることです。もしもあなたの収入が家計にすぐに必要であるというのでなければ、ちょっと歩を止めてみてはどうかと、私は考えます。自分はなぜいまの仕事をしているのか、自分の人生にとってどのように大切な仕事であるのか、それは、いましなければならない仕事なのか、などについて検討してみてください。私は女性が働くことに賛成ですし、また、それは必要だと考えています。しかし、母親が誰のサポートもなくフルタイムで働きながら乳幼児を育て、その結果、母子ともに毎日の生活を楽しむゆとりが持てないという状況は、母親にも、そして、子どもにはなおのこと、深刻だと思います。可能なら、立ち止まって検討してみてはいかがでしょう。
 このような提案をするのは、「人生100年時代」がやってきたからです。女性も自分自身の100年の生涯をどう生きるかを考えるべきです。100年の人生で子育てに追われるのはわずか数年です。自分の人生計画さえ立てていれば、子どもが幼い時期は自分の歩みを少し緩めてもいいと考えるゆとりが持てるでしょう。乳幼児の子育て期間は、“母親であることへのご褒美の時期”と考えてはいかがでしょう。仕事は娘時代のような量と速度ではできないかもしれません。その代わり、子どもを育てることを通して幸せを享受し、加えて、自分の長い将来のために必要な知識を得たり、趣味を深めたりなどの時間にあてることができるでしょう。
 母親がゆとりを持つと子どもも穏やかに過ごせます。母親が忙しい時期に限って子どもが病気になる、これはよくある事例です。母親が忙しくしていると子どももそのストレスに影響され、あるいは、多忙な母親が子どものわずかな不調を見過ごして、子どもが調子を崩してしまうのだと考えられます。また、質問者は子どもがせっかく慣れている託児所に通えなくなるのは残念だと思うかもしれません。しかし、地域の子育て支援センター、児童館、図書館などを利用すると、子どもが子どもに接する機会は多いはずです。そして、母親にとっても新しい世界を広げる機会になることでしょう。