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歯とお口のケア

Q. 歯みがきのしすぎで歯ぐきが削れてしまいました。 (2024.6)

  • (妊娠週数・月齢)7歳〜

8歳の子がいます。むし歯にならないように、毎日欠かさず念入りに仕上げみがきをしていたのですが、その結果、歯ぐきが削れてしまいました。みがくときに力を入れすぎたようです。インターネットの情報で、みがきすぎによって歯ぐきが下がると、元に戻らないと目にしました。いまからでも元に戻すためにできることや、正しい仕上げみがきの方法についてアドバイスをお願いします。

回答者: 井上美津子先生

 歯ブラシで、歯と歯ぐきの境目あたりを強くみがきすぎると、歯ぐきが下がってしまうことがあります(オーバーブラッシングといいます)。正しい歯みがきの方法を習得して、これ以上歯ぐきが下がらないようにしましょう。かかりつけ歯科があるようでしたら、歯科医または歯科衛生士に歯ブラシの当て方や動かし方、また力の入れ具合などを教わるといいでしょう。

 歯ブラシで歯ぐきのほうまでゴシゴシ強い力でみがいてしまうと、歯ぐきが傷ついたり、削れてしまうことがあります。一過性の場合でしたら、傷が治れば歯ぐきも元に戻りやすいのですが、習慣的に歯ブラシが強く当たっていると、歯ぐきが下がってしまい(歯肉退縮といいます)、元には戻りにくくなります。また、硬めの歯ブラシを使ってゴシゴシみがいた場合には、歯の表面(エナメル質)も削れてしまい、歯ぐき寄りのエナメル質のすり減りがみ見られることもあります。

 一度すり減った歯質は、自然に治ることはありませんが、まだ成長途中の子どもの歯肉でしたら、みがき方を改善することで、歯肉退縮も多少は改善が期待できるかと思います(おそらく時間はかかると思いますが)。成人の永久歯ですと、退縮した歯肉が元に戻るのは難しく、手術などが必要なこともありますが、発育途上の永久歯でしたら、まだ歯肉縁の位置も完全には決まっていないので、改善の可能性が期待できるでしょう。正しい歯みがきの方法を、保護者の方も、お子さん自身も、習得することが大切です。
 “歯ぐきを傷つけない”歯みがき方法でまず大切なのが、歯ブラシの持ち方、当て方、動かし方です。「しっかりみがいて、歯垢を取り除かなければ!」と意気込んでみがくと、つい肩に力が入り、歯ブラシを手のひらでぎゅっと握って、強い力でゴシゴシみがくなどしがちです。強い力でみがくと、歯や歯ぐきに悪影響(歯質のすり減りや歯肉退縮など)を及ぼす恐れがあるばかりでなく、歯ブラシの毛先が開いてしまい歯垢を効果的に取り除けない場合も多いのです。指先で歯ブラシを持ち(ペングリップなど)、軽い力で小刻みに(毛先だけ振動させるつもりで)動かすことがお勧めです。毛先で歯垢をかきとるのではなく、細かく動かすことで毛先に歯垢を吸い取るようなつもりでみがくとよいでしょう。
 適切な歯みがき圧は、150gくらい(100~200g)といわれています。自分の歯みがき圧が適当かどうかわからない場合は、キッチンスケールで確かめてみるといいと思います。150gというと、歯ブラシの毛先を押し当てても、毛先が曲がらず広がらない程度の力です。少し力を入れて毛先が広がる状態ですと、500g以上の力がかかっているでしょう。力の入れ具合の目安にしてください。
 また、歯ブラシの毛の硬さですが、あまり硬すぎないものがいいでしょう。硬い歯ブラシで、強い力でみがいたり、大きく動かすと、歯や歯ぐきへのダメージが生じやすいと考えられます。
 正しい歯みがきの方法については、できれば歯科医院で歯科医師や歯科衛生士に歯みがき指導を受けましょう。8歳のお子さんですと、永久歯への生え換わりにより、歯並びや咬み合わせも変化していることと思われます。歯垢の染め出しなどをしてもらい、個々の口の中の状態に合わせた歯ブラシの当て方、動かし方などを、親子で教わるとよいでしょう。そろそろ子ども自身も鏡を見ながら歯ブラシの当て方などを工夫して、自分に合ったみがき方の学習をしていくとよいと思います。
 退縮した歯肉の状態についても歯科医に相談して、定期的にチェックしてもらうといいかと思われます。また、永久歯に生え換わると歯と歯の間に歯垢がたまりやすくなるので、フロスを使っての口腔清掃も重要になります。フロスの適切なやり方なども教わるといいでしょう。