ママ・パパの気持ち
Q. 想定外の3人目の妊娠。虐待などが不安です。 (2024.6)
- (妊娠週数・月齢)7歳〜
- (妊娠週数・月齢)妊娠2か月 (4〜7週)
12歳と7歳の子どもがいます。子どもは2人と決めていましたが、想定外の妊娠をしてしまいました。子どもは2人でいいと思っていた理由は、私が虐待しかねないからです。2人目が小さいころ、泣き止まずイライラして外に放り投げてしまおうかと思ったこともありますし、イライラしすぎて壁を壊したこともあります。感情のコントロールができないのが怖いです。いまでも子どもたちが言うことを聞かなかったりして、こちらがキャパオーバーのときは感情に任せて怒鳴り散らしてしまいます。
私は、もともと子どもは1人でいいと思っていましたが、夫から「2人目がどうしてもほしい」と言われ、2人目は夫がかわいがることを条件に産みました。私もかわいがりますが、子どもの面倒は主に夫が見ます。でも下の子に「ママがいい」と言われ、私が相手をできないときは、つい夫に「だから1人でいいって話したでしょ」と言ってしまいます。
3人目の妊娠は想定外だったので「だから、いらないって言ったでしょ」と言ってしまいそうで自分が怖いです。夫とも相談しています。経済的にもかなり厳しく生活していけるのか、子どもたちに負担がかからないか心配で、中絶を含めとても悩んでいます。
回答者: 帆足暁子先生
とても難しい問題に直面されています。
あなたは、自分が虐待しかねない、と思っています。そしてそれは、いまいる2人のお子さんを育てながら、感情のコントロールができなかったときがあったからですね。
「夫がかわいがることを条件」にして2人目を育ててみて、子どもが母親を求めることに気づかれました。たぶん、3人目もあなたを求めます。子どもは母親から生まれるのですから、仕方がないともいえます。
もし、3人目が生まれて、子どもが泣き止まなかったり、あなたの言うことを聞かなかったりしたときはイライラして、キャパオーバーになるでしょう。それから、3人になることでお金が掛かることも事実です。生活が厳しくなることで、さらにイライラしやすくなるかもしれません。あなたが恐れている「だから、いらないって言ったでしょ」と言ってしまうかもしれません。
でも、あなたはそうならないために、つまり子どももあなたも夫も傷つくようなことがないようにしたいと思っています。それがあなたの願いです。
では、3人目は中絶したほうがよいのでしょうか?
あなたが心配されている、虐待になるかもしれないことですが、「健やか親子21検討会報告書(平成12年11月)」の中に、虐待に至るリスク要因として、次の4要因が揃うと発生するとされています。
[1] 多くの親は子ども時代に大人から愛情を受けていなかったこと、[2]生活にストレス(経済不安や夫婦不和や育児負担など)が積み重なって危機的状況にあること、[3] 社会的に孤立化し、援助者がいないこと、[4]親にとって意に沿わない子(望まぬ妊娠・愛着形成阻害・育てにくい子など)であること。
ですから、虐待を予防する方法として、これらの4要素が揃わないように働きかけること、ともされています。
つまり、あなたが虐待をしないためには、[3]にある「社会的に孤立せず、援助者がいる」状況にすればよいのです。これまでの子育てで、あなたは信頼できる援助者に出会えたでしょうか。出会えていなかったとしたら、あなたが信頼できる人を探せたら、子どもが3人になっても大丈夫だということです。あなたがキャパオーバーになる前に、どうしたらよいかをあなたと一緒に考えて、あなたの子育てを支えてくれるからです。
ただ、あなたの抱えている問題は、もしかしたら、子育てではなく、イライラしたときに感情のコントロールができないことなのではないかとも思います。それはずっとあなたを苦しめてきたのではないでしょうか。そして、あなたが苦しむ理由が必ずあります。子育てのイライラは表面的な問題であって、実はあなたの心の奥にいる子どものころからのSOSのような気がするからです。もしかすると、それを克服するチャンスかもしれません。
2人のお子さんは12歳と7歳。もう立派な子どもです。3人目が生まれたらしっかりベビーシッターをしてくれそうです。子どもを3人4人と育てた親ごさんは、子どもが子どもを育ててくれるので、きょうだいが多いほうが楽だったという方も多くいます。もしかしたらあなたも、3人の子育てのほうが楽になるかもしれません。
さて、中絶には期限があります。
もちろん、経済的にかなり厳しく生活できないということであれば、考えるまでもなく、決断できるかもしれません。
あるいは、援助者の可能性を信じて子どもを3人もつことを決断することもできます。もちろん、不安が大きいから3人は無理だと決断することもできます。
あなたが決めてよいのです。一番苦しいのはあなたですから。
子どももあなたも夫も、傷つかないようにしたいと願うあなたです。
ご自分の判断を信じてください。
でも、どうしても決断ができずに苦しいかもしれません。そういうときは、こども家庭センターや保健センターなどの専門職に相談することもよいかもしれません。あなたはひとりではないのです。