性格・親のかかわり・育て方
Q. 1歳の子の母。育てにくく心身共に限界で、笑顔になれません。 (2024.7)
- (妊娠週数・月齢)1歳0か月
1歳になった娘がいます。生まれたときからよく泣く子で、抱っこしていないと眠りませんでした。1歳になってからも立って抱っこしないと大声で泣きます。もともと離乳食もあまり食べず、ハイチェアに座らせようとするとのけぞって大声で泣きます。3週間ほど前から、チャイルドシートものけぞって嫌がり泣くようになりました。のけぞられると力が強すぎて、チャイルドシートに乗せられずお出かけもできません。私のメンタル状態に限界が来てしまい、涙が止まらない日が続いています。
どうしてこんなに手がかかるのか? 育てにくい子なのか? などと不安に思い、自分のメンタルがどんどんよくない方向に向かっているようで怖いです。完全母乳で夜間も2時間おきに起きるため、体力も限界です。気持ちの切り替え方を見失ってしまい、子どもの前で笑顔になれません。
回答者: 帆足暁子先生
娘さんが生まれたときから、ずっとがんばってこられたのですね。
でも、お出かけもできなくなり、もう限界になって、涙が止まらない。
このままだと、あなたが壊れてしまいます。
これからあなたが笑顔になれるように考えていきましょう。
まず娘さんは、育てにくい子どもと言ってよいでしょう。
育てにくい子どもの特徴はいくつかありますが、「機嫌の悪いことが多い」、「反応を強く表す」「生理的な周期性が不規則」「初めての事態では消極的で尻込みしがち」「環境の変化には慣れにくい」などの特徴をもちます。子どもの10%に当たると言われています。これは、生まれつきの子どもの気質と言われているものです。
そして、あなたは「完全母乳で夜間も2時間おきに起きる」ということですから、きっと娘さんが生まれたらこうしてあげたいという思いがあって、娘さんのためにがんばってこられたのではないでしょうか。
実は、生まれた子どもに「育てにくい」特徴がある場合には、一生懸命に育てようとすればするほど、育児の負担感が大きくなるので、子育ての専門の人と一緒に相談しながら育てることがよいのです。
なぜなら「育てにくい子ども」というのは育てる大人側からの捉え方ですが、子どもの側から考えると、「育ちにくい子ども」なのです。わけのわからない不安だらけの世界にいるので、怖くてたまらないのです。
怖くてたまらないから激しく泣いてSOSを発信しますし、安心させてあげようとする親のかかわりさえ、その意味を理解することができず、子どもには新たな不安となり、さらに怖くなって泣いて拒否してしまうのです。ですから、子どもをなだめようとしても、子どもが安心できるかかわり方を見つけるのは至難の業になります。子ども自身がどうしたら自分が安心できるのか、わからないからです。
抱っこしていないと眠らなかったり、立って抱っこしないと大声で泣いたり、離乳食もあまり食べなかったり、ハイチェアに座れなかったり、前は大丈夫だったのに、突然チャイルドシートも嫌がり泣くようになったりしていることからも、娘さんが「育ちにくさ」を抱えていることを示しています。
なぜ「育ちにくい子ども」が生まれるのかはわかっていません。でも、そういう子どもは敏感なセンサーをもっています。「たくさんアンテナを張っている子ども」と言われたりします。つまり、鈍い子どもは気づかないことにも気づきます。だからこそ不安になりやすい、ということなのです。娘さんが受け入れられる物事が少ないのはそのためのようです。
こども家庭センターや保健センターの専門の人は、そういうたくさんの子どもとかかわってきていますから、あなたが笑顔になれるような、娘さんへのかかわり方を見つけてくれると思います。
「育ちにくい子ども」は、小さいころはその敏感さから、育てる親も子ども本人もつらくて大変なことが多いのですが、成長していくと、その敏感さゆえに、繊細な仕事やセンスの良い仕事ができたり、人に気遣いをするステキな大人へと成長することができます。ですから、娘さんの未来は明るいと言えます。
あなたはもう十分ひとりでこれまでがんばってきました。これからは専門の人と一緒に娘さんを育ててみませんか。