性格・親のかかわり・育て方
Q. かんしゃくを起こす3歳半の子の母。かかわり方に悩んでいます (2024.9)
- (妊娠週数・月齢)3歳
3歳半と1歳3か月の子の母です。上の子の育児で悩んでいます。かんしゃくがあり、こだわりも強いです。食べ物、衣服、やりたい遊びなど要求が多く、対応が大変です。生活面では注意力散漫で一つのことをやり終えるのに時間がかかります。思うようにいかないと下の子に手を出したり、何をするにも「ママがいい」と言います。初めは穏やかに声をかけたりしていたものの、言うことを聞いてくれず、私の口調も強くなりがちです。気持ちに余裕がなく、感情的になって怒ったり、突き放してしまうことが増えました。自分の母親のようにはなりたくないと思っていたのに、情けなくて悲しいです。
母には「甘やかしすぎだ」と言われ、夫の実家では「愛情不足だ」と言われ、子育てに自信がなくなってしまいました。怒ることや泣くことにエネルギーを使い、疲れてしまいました。穏やかに子育てをしたいです。
回答者: 帆足暁子先生
子どもを授かるということは幸せなことのはずなのに、いまは悲しくなったり、疲れてしまっているのですね。あなたが願っている「穏やかな子育て」ができるように考えましょう。
まず、あなたは「自分の母親のようにはなりたくない」と思っています。それは、あなたが母親に対して抱いている感情から来ている思いです。そうだとしたら、あなたは「母親」の良いモデルをもっていないことになります。体験のない中で、「良い母親像」を自分で0から作り上げていかなければならないのです。子育てがうまくいかなかったり、自信がなくて当たり前です。
それなのに、上のお子さんは「ママがいい」と言うのですね。あなたは上のお子さんと良い関係をつくられてきたのです。確かに何をするにも「ママがいい」となると手はかかりますし、大変です。でもお子さんはママが大好きなのです。自信をもってください。
大好きなら、言うことを聞いてくれてかかわりやすくなってくれたらよいのに、子どもはなかなか思うようになりません。でも、実は大人だってわかってはいるのに、自分のことさえ思うようにはいかないものです。
お子さんは、本来は2歳代のイヤイヤ期を抜けてそろそろ落ち着いてくるころですが、2歳3か月で下のお子さんが生まれていますから、上のお子さんにとってはそれこそ一番「ママがいい」ときに下のお子さんにママを取られてしまったのだと思います。自我がしっかり育っている子どもほど、思いが強い分、不安も強くなります。不安が強くなると、安心するためにこだわりが強くなったり、不安が大きすぎて自分では気持ちをコントロールしきれずにかんしゃくを起こしてしまったりします。何をしても安心できないので「要求を出してかなえてもらうこと」で安心できる道を模索しますが、うまくいきません。それがお子さんへの対応を大変にしてしまっているのです。
では、どうしたらよいでしょう。子どもは不思議なもので、穏やかに声をかけてもらうのも好きですが、大好きなママにもっとエネルギーを自分に向けてほしいのです。それがたとえ怒られることであっても。
ポイント1は、「強く求められる」です。お子さんをギューッと力強くハグしてみてください。苦しいくらいの強い抱っこをすると、「くるしい~」と言って逃げていくかもしれません。でもうれしくてにこにこします。
ポイント2は、子どもから求められていないときをチャンスとして、ママからお子さんを抱っこしてみてください。それが繰り返されると、ママに求められている安心感が生まれ、ママを執拗に求めなくなります。何でも「ママがいい」と言うのは、自分がママを求めないと関心を向けてもらえないと思っているからです。子どもは本当は、自分から求めなくても、大好きなママが「あなたがいい」と言って求めてくれて、抱っこや世話をしてほしいと思っているのです。
ポイント3は、安心感が足りないと、ボーッとして注意力散漫になりやすいです。ですから、安心感が足りれば改善される可能性もあります。あるいは、安心しても改善されない場合は、お子さんの個性としての特性かもしれません。
それから一番大切なこと。子どもも母親も同じ人間で大切な家族です。母親だけががまんするのは間違っています。お互いが譲り合ってちょっとがまんし合って、その分楽しくいられることが大切なのです。
あなたは、良い母親になろうとしてお子さんに優しくしようとがんばりすぎていませんか。がんばることは良いことですが、がんばりすぎることは家族の輪を壊します。少しのがまんは良いですが、要求を出されすぎて困ってしまったら、そのときに「ママはもう疲れました。少しお休みするね」とお子さんから離れて休んだり、トイレに入ったりして物理的に距離をとり、気持ちを切り替えて、自分を守りましょう。
最初は子どもも怒って離されないようにしますが、淡々と穏やかに繰り返しているうちに良いあきらめを学びます。
お子さんに口調が強くなってしまうのは、「こんなに譲ってあげているのに、まだわからないの!」とがまんしすぎてキャパオーバーになってしまうからです。キャパオーバーになると、蓄積されたすべての怒りが爆発してしまいます。ここでのポイントは、がまんしすぎて爆発しないように、嫌なことはイヤだとそのときに一つ一つ解決していきましょう。
あなたを理解しようとせず、「甘やかしすぎだ」「愛情不足だ」と言われることは嫌ですが、あなたのこともお子さんのことも何もわかっていないのです。外野は放っておきましょう。大切なのはあなた方家族です。