性格・親のかかわり・育て方
Q. 3歳の女児。登園渋り対策でおしゃれをして登園させています (2024.12)
- (妊娠週数・月齢)3歳
毎朝、3歳の娘の登園渋りがひどく、私自身、仕事に遅刻してしまうことがあり悩んでいます。娘は、朝から今日が保育園の日か休みの日かなんとなくわかっており、保育園の日は目が覚めてもベッドから出たがりません。やっとベッドから連れ出しても、ごはんを食べずに「お菓子!」と騒ぎます(保育園が休みの日は、素直にごはんを食べます)。仕事に遅れるので、ごはんを食べないときは車の中でバナナやおにぎりなどを食べさせています。
また着替えるように促しても、逃げ回って着替えません。追いかけると笑って喜ぶのですが、捕まえて着替えさせようとすると激しく抵抗します。最近は娘が好きなヒラヒラしたワンピースで気を引き、「そのかわいいワンピース、先生に見せよう!」と言って、どうにか登園させています。娘はプリンセスが大好きです。しかし先生から、娘が毎日、お友だちに服や靴、髪飾りなどを見せびらかしていると言われました。
実は、最近仲よくなった2歳上の女の子が一緒に遊ぶたびに必ずおもちゃを持ってくるのですが、ほかの子に貸してくれません。たまに娘にだけ貸してくれないこともあります。
お母さんは気づかないのか介入しないので、いつも悶々とします。その子のようになってほしくないと思っていたため、娘の保育園での行動がショックです。行き渋りへの対応や2歳上の女の子とのかかわり方はどうしたらよいのでしょうか。
回答者: 帆足暁子先生
まずは、3歳の娘さんの登園渋りについて考えてみます。
なぜ、娘さんは保育園に行きたがらないのでしょうか。
登園渋りが起こる背景として、二つの視点から考えます。
一つは、保育園が娘さんにとって楽しくないので、行きたがらないということ。その場合は、楽しくない理由を見つけます。お友だちなのか、先生との関係なのか、先生に保育園での様子を聞くことからわかることもあります。
ただ、書いてくださった中から考えられることがあります。「娘が毎日、お友だちに服や靴、髪飾りなどを見せびらかしている」と書かれていることです。その娘さんの姿を先生はどう捉えて、どのような対応をしてくださっているのでしょうか。「見せびらかしている」という表現は悲しいです。なぜ、見せびらかすことが必要になるのかを考えてほしいのです。そこには娘さんなりの理由があるからです。そうしないとお友だちに見てもらえなかったり、遊んでもらえなかったり、あるいは、どうしたら楽しく遊べるのかわからなくて、自分の知っているかかわり方をしているだけだったりします。そういうときには本来は、先生がその意味を理解しようとして、娘さんが本当に望んでいることが実現できるための方法を娘さんと一緒に考えてくださると、こういう行動をしなくて済むようになります。お友だちと楽しく遊べるようになると、保育園に行きたくなるかもしれません。
もう一つは、あなたとの朝のこの時間が娘さんにとっては、あなたに注目してもらえるかけがえのない時間になっていることです。保育園に行く前のこの時間は、親は、仕事に遅刻しないように行きたいという思いでいます。そのために娘さんに動いてもらいたいから、親は真剣です。だから、それを敏感に感じる娘さんが、親の注意を引けるチャンスと思うと、言うことを聞かない姿を見せることになります。娘さんにとっては叱られて泣くことになったとしても、あなたの関心がほしいのです。もしこの可能性があれば、この場合のコツは、淡々と「ママはお仕事、あなたは保育園」と言って、朝食は娘さんが好きそうなものかバナナやおにぎりを用意して食べなければ車に持っていきます。着替えは、しばらく着せます。着替えを遊びにしないためです。そして一方で、週末や帰宅してから娘さんと過ごす時間を10分でもよいので作ります。娘さんが求めている、関心を向けてもらい楽しく安心できる時間を保障するためです。この時間で娘さんが安心できると、朝に登園渋りをする必要がなくなります。
次に、2歳上の女の子とのかかわり方です。
つい、子ども同士のことだからと親は引いてしまいますが、相手の親ごさんが自分のお子さんにかかわらないのであれば、できればあなたが、お子さんのモデルになりましょう。そのお子さんがほかの子に貸さなかったり、娘さんにだけ貸してくれなかったりしたら、あなたが「どうして貸してくれないの?」「みんなで一緒に遊んだほうが楽しいわよ」など、楽しく遊ぶための方法をそのお子さんも娘さんも巻き込んで一緒に楽しく遊べると、そのお子さんも娘さんも、本当に楽しく遊ぶということを体験でき、そうしたいと思うようになっていきます。あなたが娘さんにモデルとして見せてあげる、ということでもあります。それをしていくと、娘さんの保育園での姿も変わっていくと思います。
子どもが困った行動をするときには、必ずそうしないではいられない子どもの必然性があります。その理由が理解できるとおのずからかかわり方が見えてくることが多いように思います。