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歯とお口のケア

Q. 生後1か月。上顎や下の歯が生えてくるあたりが黄色いです。 (2025.3)

  • (妊娠週数・月齢)1か月

生後1か月の赤ちゃんがいます。新生児のときに気がついたのですが、上顎や下の歯が生えてくるあたりが黄色いです。おっぱいは飲めていて、おしっこやうんちも問題なく出ています。なぜ黄色いのでしょうか?

回答者: 井上美津子先生

 新生児期から見られていたことや、痛みなどの不快症状がなさそうなこと、体調にも問題がなさそうなことなどから推察して、上皮真珠ではないかと考えられます。

 上皮真珠とは、生まれて間もない乳児の歯ぐき(歯槽堤:しそうてい)に見られる白色、または黄白色の小さな半球状のかたまり(直径1~数㎜くらい)を言います。粟粒大から小真珠大くらいの大きさ(直径1~数㎜くらい)で、歯ほどの硬さはありませんが、白っぽくやや光沢があるため、こう呼ばれます。1個だけ単独で出現することもあれば、十数個が一度に出現することもあります。発現頻度は高いと考えられていますが、小さなものや目立たない部位に出てきたものは気づかれにくいとも言われています。
 
 上皮真珠は、顎の骨の中で歯が作られるときに使われた歯堤という上皮組織が、通常は周りの組織に吸収されるのですが、うまく吸収されずに部分的に残ってしまい、排出されてきたものと考えられています。上下の前歯が生えてくる予定の歯ぐきに見られることが多いですが、脇の奥歯が生えてくる歯ぐきに見られることもあります。時には上顎の粘膜の中央部あたりに見られることもあり、これは歯堤由来のものではなく、上顎が作られるときに左右の顎の骨がくっつく(癒合する)のですが、そのときに吸収されずに残った組織だと考えられています。

 上皮真珠は、とくに痛みなどの不快症状を伴うものではなく、哺乳などにも影響しないため、そのまま経過観察していれば数週間から数か月で(乳歯が生えるころまでには)自然に剥がれ落ちて脱落しますので、治療の必要はありません。剥がれ落ちた組織も、小さく害のないものですので、飲み込んでも問題はありません。また、その後の乳歯の生え方にもとくに影響はありませんので、心配はいりません。

 新生児期にすでに発現していて変化がないようですので、感染や外傷などの原因は考えにくいのですが、上記の症状に当てはまらない場合や、もし2~3か月経過を見ていても自然に消失する様子がない場合には、精査が必要になるかもしれません。その場合は、小児歯科専門の歯科医院か大学病院の小児歯科などを受診して、相談してみてください。