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教育・保育

Q. もうすぐ5歳。習い事をさせたいのですが、本人はいやだと言います。 (2014.3)

  • (妊娠週数・月齢)5歳

もうすぐ5歳になる息子の習い事について悩んでいます。息子は内向的な性格です。まわりでは「習い事をしてとても伸びた」などの話を聞くのですが、息子は習い事などしたくないと言います。なぜしなきゃいけないのか、と。幼稚園でも課外体操教室があるので、せめてそれだけでも行ってほしいと思うのですが、それは親のエゴでしょうか。周囲の子は習い事で忙しく、うちの子だけ取り残された気持ちになります。子どもの習い事についてどう考えればいいのか、アドバイスをお願いします。

回答者: 汐見稔幸先生

 習い事をさせることには、次のようないくつかのパターンと意味があります。

 ①親には教えてやる能力はないけれども、その習い事をして一定の技能を身につけると将来の生活に豊かさが期待できたり将来役に立つと思われる、そういうことをさせることです。現代の子では、「運動不足だからスイミングに通わせて身体づくりをさせよう」とか、「これからは英語を話せないといい仕事ができない時代になるので英語教室に通わせよう」などの場合です。

 ②子どもが自分から何かを習いたいと言ってきたので、その願いを満たしてやるために通わせるという場合です。サッカーがうまくなりたいと言うのでサッカー教室に通わせているとか、料理が好きになって料理教室に通いたいと言ってきたので子ども料理教室に通わせている、などの場合です。つまり、子どもからの要請ですね。

 ③将来ある道のプロにしたくて、幼い頃から専門的な訓練を受けさせるというケースです。ゴルフ、テニス、卓球、体操、スケートなどのスポーツ系、ピアノやヴァイオリンなどの音楽系、バレーや絵画などの芸術系などが多いのですが、このためには親は生活のかなりの部分を子どもの教育に費やす覚悟が必要になります。習い事といっても、ある程度子どもに厳しく、指導の中身も高度なことが要求されます。

 このうち③を除いて、子どもと親が相談して協働し、通うかどうかを決めるというのが基本です。①の場合、習い事は親の子どもへの期待の具体化です。こうしたケースでは教室の先生の指導法や教室の雰囲気などによる差が実際にはかなり大きいので、続けさせるには偶然も含めてそれなりのエネルギーと工夫が親には必要です。もちろんお金も必要です。

 問題は、そこまでして効果があるのかということですが、効果を上げるためには、以下のようないくつかの条件が必要です。
 1.子どもがそれに元来向いていたということ
 2.いい教室、いい先生に恵まれること
 3.保護者が上手に子どもを支え続けること、など。

 実際にはこれだけの条件が整うことはあまりありませんので、このケースでは「親も子も満足!」というのはなかなか難しいと考えていいでしょう。親としては、子どもがやりたいと言っているわけでもなく、満足のいく教室もない、というときは無理にやらせる必要はないと思います。

 でも、いい先生や友だち、ママ友などに恵まれて、子どもがやる気になってある程度のところまで行くということもあります。このあたりは実際にはケースバイケースと考えていいでしょうが、子どもが途中で嫌がった場合、ある程度続けるよう説得してもダメなら無理強いすることはないと思います。前述した①のタイプの習い事ですぐれた人材として育ったという例はあまりないということが、それを傍証しています。もちろん、やめることにはどこか悲壮感があって悲しく、「少しがまんする」という程度を超えてしまうことがあります。そういうのがいやだという人は、はじめから習い事の道に進ませないほうがいいと思います。それでも、①のパターンにこだわりたいという人は、「いつでもやめる」という前提で習い事に参加させるべきでしょう。

 ②のパターンは本人の意思ですから、できるだけお子さんの意思などを尊重してあげてほしいと思います。ご相談の場合はいまところ、このパターンはないようなので、これまで通りでいいでしょう。③もそうです。

 結局、周囲の意見や状況にあまり惑わされず、自分は自分の考えでやると居直って、でんと構えていることが大事だということだろうと思います。やりたくない子に習い事をさせて、それで育ちがうんと伸びたというケースはほとんど聞きません。焦ることはありません。親が堂々としていればいいのです。