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アレルギー

Q. 生後11か月。小児科の指導で複数の食材を除去していますが、湿疹が改善しません。 (2014.6)

  • (妊娠週数・月齢)11か月

生後11か月の女の子、完全母乳です。生後6か月の頃に小児科でアレルギー検査(血液検査)をしたところ、卵と鶏肉が「レベル3」と出ました。離乳食を始める前の検査だったので卵も鶏肉もまだ食べさせたことがなく、実際にこれらの食材で症状が出るかどうかはわかりません。ただ、湿疹はずっとできていて、ひっかき傷ができています。小児科の指導で、それから娘も私も卵と鶏肉を除去しましたが、生後11か月になって再度アレルギー検査をしたところ、卵レベル5、小麦レベル4、鶏肉レベル3、牛乳と大豆はレベル2と出ました。これらすべてを除去するように言われ、米もレベルは0ですが少し反応があるらしく低アレルゲン米を勧められました。現在、その通りの離乳食と食事をしていますが、なかなか湿疹が治りません。これらがほんとうに原因なのか? このまま除去し続けて発育などに問題はないのか?と不安に思い、娘の体や顔に湿疹が出るたびにどうすればよいのかわからなくなります。

回答者: 横田俊一郎先生

 食物アレルギーと湿疹の関係は、ほんとうに悩ましい問題です。以前は食物アレルギーで湿疹が起こるという考え方が主流で、ひどいアトピー性皮膚炎のお子さんをもつお母さんが、焼鳥屋の前を通るときに煙を吸わないよう鼻を覆って通り過ぎるほど神経質になっているという例も経験しました。

 しかし、食べることによってほんとうにアレルギーが悪化するのかどうかということについては、最近ではだいぶ考え方が変わってきました。これについては2014年1月の私の回答をお読みください。

 まず、ご質問にある検査結果ですが、卵レベル5、小麦レベル4というのは、確かに高い値だと思います。問題は、実際に卵や小麦を摂取したときに症状が悪化するかどうかということです。全身にじんましんが出たり、ゼイゼイするのであれば当然摂取は控えたほうがよいでしょう。しかし、あまり大きな変化がないのであれば、少しずつ摂取してみるという方法もあると思います。また逆に、これらを完全に除去しても症状が改善しないのであれば、湿疹は食物アレルギーだけが原因というわけではない可能性が強いということになります。

 2014年1月の回答にも書いたように、乳児期には少しずつ摂取するほうがアレルギーはより早く治るのではないかという考え方が広まりつつあります。

 また、皮膚の湿疹がひどいと皮膚のバリア機能が破綻し、そこから侵入するものが皮膚で免疫反応を起こしてアレルギーを起こすということもしだいに明らかになってきました。まず、ステロイドなどの外用薬をきちんと使って皮膚をきれいにすることから始めてみることが必要かもしれません。

 極端な食事制限が発育障害を起こしたという症例の報告も、小児科の学会では散見されます。子どもたちはアレルギーを治すために生活しているのではありませんので、心身ともに健全な大人になるために必要なことを忘れてはなりません。極端な制限ではなく、通常の生活になるべく近い方法を模索するのがよいのではないでしょうか。