性格・親のかかわり・育て方
Q. ４歳の息子が女の子の好む遊びばかりしたがります。どう対応すればいいですか。 (2015.10)
- （妊娠週数・月齢）4歳
４歳の男の子です。男の子でありながら、女の子が好む遊びばかりしたがります。このままでいいのかと気がかりです。息子にどう接すればいいでしょうか。適切な対応について教えてください。
回答者: 汐見稔幸先生
おそらく心配されているのは、この子は外から見たら男の子だけれども、実は脳はかなり女の子的な脳という、いわゆる性同一性の障害があるのではないかということだと思います。
率直に言って、現在の年齢ではそのことはまだはっきりとわかりません。でも、この年齢で女の子が好きな遊びをする男の子はかなりいるものです。気のやさしいところがある男の子、べとべととくっつきあう関係が好きな男の子、乱暴な行為が好きでない男の子はどこにでもいて、それを否定せず、うまく生かして大きくなると、それがその子の性格のメリットになることが多いものです。逆に、木登りが好きな女の子、走り回ることが得意な女の子、相撲を取りたがる女の子というのもいて、ボーイッシュなところが魅力の女性に育つ可能性が大きいといえるでしょう。
それに、学校に行きだすと変化していくかもしれません。一定の時間をおいて、友だちに男の子がたくさんいるのか、女の子ばかりなのか、群れて遊ぶとき、どういうグループに行きたがるのか、服装はどういうものが好きか、等々を冷静に見守ってください。その際に大事なことは、その子のそういう生き方の流儀を強く非難したり、叱ったりしないということです。
女の子の遊びが好きなタイプであるということならば、そういう遊びをすることがその子の「自然」な姿なのですから、それを否定してはいけません。否定されると自分全体を否定されているように感じて、深いところで自分を否定して生きなければならなくなります。やがて自信のない子になり、自分のありのままが好きではないという子に育っていく可能性が強くなります。これは人間形成では避けてほしいことです。
「〇〇ちゃん、女の子の遊びが好きだもんね」などと言うのも、気をつけたいところです。本人に気にさせてしまう点では同じだからです。そのうえで、お子さんがそれを自分の性格として大事に思うようになっていくことを応援してください。でないと、いじめられる可能性が出てきますから。
いまは男の子らしさとか女の子らしさということが揺らいでいる時代で、また「男の子らしくなりなさい」と言うこともあまり意味がない時代になりつつあります。それよりも、個性が大事です。「やさしい男の子ですね」と言われるようになれば、それがこの子の財産になります。できるだけ、「面白い子だね」と、温かく、やさしく接してあげてください。