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性格・親のかかわり・育て方

Q. 3歳の息子。過干渉だったせいか消極的で萎縮した子に。 (2018.3)

  • (妊娠週数・月齢)3歳

3歳の息子がいます。遊んでいても、やる前から「僕にはできない、お母さんがやって!」と言います。公園でもすべり台などで全然遊ばず、すべるかと思うと怖がって階段から降りてきます。お友だちと遊ばないし、自主性に欠けるところもあります。私が過干渉だったのが原因だと思います。1、2歳のころから、「それはダメ」「危ないからやめて」「しちゃいけない、そんなことするなら帰るよ」などと言ったり、ヒステリーを起こしたりなど最低なことばかりして、息子のやる気を奪い、今に至るのだと思います。最近になり、とても後悔しています。3歳までに性格は決まるなどとも聞きますし、私のせいでこうなったと思うと毎日つらく、申し訳ない気持ちになります。今からでも息子に自信を持たせることはできますでしょうか。

回答者: 汐見稔幸先生

 お子さんにほかに気になるところがないようでしたら、確かに、お母さんが過干渉すぎたことがお子さんの自主性の育ちを阻害してしまっている可能性は高いですね。

 一般的に、3歳ごろまでに育った心の傾向は、のちのその人の性格に影響をあたえることはよく知られていることです。しかし、このことは、その人の性格や行動の仕方の特徴が3歳までに身についたものからずっと変わらない、ということを意味しているわけではありません。性格や行動特性は、持って生まれた資質の上に経験によって形づけられてつくられます。このうち生まれつきの資質は、脳の働きの個性のようなもので、簡単には変わらないと考えられます。短気とか理屈っぽいとかは、生まれつきのもので一生続くものです。いわば脳というコンピュータの機能の個性です。

 しかし、赤ちゃんのときの親の過干渉で失敗することを怖れるようになったとか、ママをがっかりさせたくないので失敗することはしないようになった、というような行動の特性は、そうした生まれつきの資質で決まるよりも、生きていくうえで子どもが生後に身につけたいわば知恵みたいなものです。こうすればママは喜んでくれる、こんなことをするとママに叱られる、という経験から学習して身につけた行動特性なのです。この部分は、これとは異なる経験的教訓を学ぶようになれば、徐々に変わっていくことが可能です。ただし時間はかかります。

 ですからお子さんの場合、お母さん自身が気がついているのですから、これからは育児の原理を思い切って変え、できるだけ子どもに任せられるものは任せる、というようにしていけば、お子さんの行動の仕方もかなり変わっていきます。ただし、時間はかかります。3年かかって身についた行動の特徴は、最低でも3年かけて変えていかないと変わるものではありません。それに3歳以降、幼稚園や保育所での関わりや行動が増えていきますから、友だちとの関わりもできていく可能性が十分あります。

 その場合、お母さんが気をつけるべきことは、わが子にあれこれ言いたくなるような場面でも、できるだけ黙って子どもに任せ、あとでフォローするようなという姿勢を貫くことです。今までのママとちょっと違う、ということを実感してもらわねば、お子さんはかえってとまどいます。
 お母さんは、あまり自分を責めないでください。誰もが、子育ての仕方が分からずにいて、あとで修正しながらやっているのですから。自分を責めているお母さんを見ることは、お子さんにとってもつらいことでしょう。お子さんは、はつらつとしているお母さんが好きなのですから。途中で気がついて、それまでの自分の子育てを修正しようとしているお母さんは、私から見ると素敵です。