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アレルギー

Q. 卵白アレルギーがある1歳1か月の娘。病院の指導に違いがあり、困っています。 (2018.3)

  • (妊娠週数・月齢)1歳1か月

現在1歳1か月の娘は、私が卵を食べた後の授乳で顔がまだらに赤くなったり、じんましんがでたりすることがありました。上の子に卵白アレルギーがあったため、娘も10か月の時に血液検査したところ、卵白のみですがクラス2でした。検査をした病院では「完全除去をして1歳6か月で再検査」と言われました。先日違う病院でそのことを伝えると、「少しずつ食べさせるように」とのこと。そこで卵ボーロを5粒食べさせてみたところ、口まわりのみ発疹が出て、30分程度で消えました。症状が軽いなら食べさせていいと言われましたが、どの程度を軽いと言い、どの程度が食べさせてはいけない症状なのか、よくわかりません。どちらの病院の指示に従えばいいのでしょうか。また、信頼できる病院の探し方も教えてください。

回答者: 横田俊一郎先生

 卵白アレルギーに関する心配は非常に多く、また医療機関におけるアレルギーへの指導もさまざまなので、患者さんは混乱することが多いだろうと思います。最近食物アレルギーに関する考え方にも少しずつ変化があり、食物除去の方法も変わりつつあることをまず知っておくことが大切です。

 まず、食物アレルギーの診断ですが、一番大切なことは食べると必ず症状が出るという事実です。血液検査もよく行われますが、血液検査で判ることは卵に対する特異的IgE抗体があるということで、これが陽性なら必ず症状が出るというわけではありません。ですから、疑わしい食べ物の負荷試験を行うことがアレルギーの診断にはもっとも信頼性が高いことになります。

 食べたときに出る症状ですが、典型的なものは食後30分以内に全身にじんましんが出てかゆがったり、顔全体が赤くなったりすることです。もっとひどくなると気管支の粘膜がむくんで咳が出たりゼイゼイしたりします。口のまわりだけの発疹は食べ物がついてかぶれただけということも少なくありません。また、かなり時間がたってから出た発疹は、因果関係を証明するのがむずかしいことが多いです。

 負荷試験でかなりあやしいと判断されれば血液検査が行われます。アレルギーの強さは血液検査ではクラス0から6に分類されていて、クラス3までは強いアレルギー症状が出ることはあまりありません。逆に4以上なら慎重に食べることが必要となります。

 昔は食物アレルギーと判断されると、しばらくは食べないようにして、消化機能がよくなってから再開するのがよいと考えられていました。しかし、近年はなるべく小さいうちから少しずつ食べた方が食物アレルギーになりにくく、食べないでいるとアレルギーが悪化することさえあると考えられるようになりました。このことを説明する事実として、ユダヤ人のピーナッツアレルギーの頻度があります。イスラエルに住んでいるユダヤ人はピーナッツが大好きで、乳児期からピーナッツを与えていますが、欧米ではピーナッツアレルギーが大きな問題になっているので、イスラエル以外に住んでいるユダヤ人の子どもは1歳過ぎまでピーナッツを与えないよう指導されています。そして、どちらの子どもにピーナッツアレルギーが多いかを比較した研究では、イスラエル以外に住んでいるユダヤ人の子どものほうが10倍くらいピーナッツアレルギーが多いことがわかりました。食べたものを異物として認識する力が弱いうちに与えた方が、アレルギーが起こりにくいと考えられるようになってきているのです。

 ご相談のお子さんは、口のまわりに発疹が出る程度なので、そのくらいの症状であれば食べ続けた方がアレルギーは早く改善するという考え方が、現在は主流になってきています。この程度の症状であれば、同じくらいの量を食べさせ続け、症状が減弱してくればさらに量を増やしていってよいと思います。

 どこの病院が信頼できるかを判断するのはむずかしいですが、小児病院のアレルギー科、総合病院小児科のアレルギー専門外来などは専門性が高い小児科医が診療をしていることが多いです。また、開業の小児科でもアレルギーを専門としているクリニックがたくさんあり、高度な医療を行っている所も少なくありません。目安として、日本アレルギー学会が「専門医・指導医」を公表していますので、これを参考にすることもできます。(http://www.jsaweb.jp/modules/ninteilist_general/

以前にも同様の質問がありましたので、回答を参考にしてください。
 (2015年10月)
血液検査で卵のアレルギー反応が出ました。離乳食の注意点などを教えてください。 (2015.10)