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泣き・夜泣き・眠り

Q. 8か月の女児。いつも自然にうつぶせ寝になり、突然死が心配です。 (2018.5)

  • (妊娠週数・月齢)8か月

8か月の女の子です。5か月で寝返りができるようになってから、夜寝かせているあいだに、自然とうつぶせで寝るようになってしまいました。窒息が怖くて枕は使っていません。気づくたびにあおむけに戻すのですが、あおむけだと熟睡できないようで、泣いて起きるかまたうつぶせに戻るかです。うつぶせだと赤ちゃんが突然死することがあると聞いているのですが、うつぶせにならないようにする対策はありますでしょうか?

回答者: 横田俊一郎先生

 乳幼児突然死症候群(SIDS)が広く知られるようになってから、うつぶせ寝についての心配は多く寄せられていて、この相談室でも以前に回答させていただいたことがあります。
生後4か月の双子。うつぶせ寝でよく眠りますがリスクがありますか?(2008.9)
 しかし、だいぶ時間も経ちましたので、改めて説明させていただきます。

 SIDSはそれまで何の問題や予兆もなかった元気な赤ちゃんが突然亡くなる病気で、窒息や事故とは異なるものです。当初は約3000人に1人の割合で起こるとされていましたが、平成27年は96人、平成28年は109人の報告があり、現在の日本の出生数を約100万人とすると、およそ1万人に1人の発生となり減少していることがわかります。これは、SIDS予防のキャンペーンが功を奏しているのも一因ですが、死因が明らかになりSIDSから除外されるケースが増えていることも要因の一つかもしれません。

 以前にも説明しましたが、欧米で1985年ごろからSIDSがうつぶせ寝の状態で発見されることが多いと報告されるようになり、うつぶせ寝がSIDSのリスクファクターの一つであることがわかりました。できるだけあおむけ寝で育てるキャンペーンが張られ、それによりSIDSの発生が減ってきたことは事実です。しかし、なぜうつぶせ寝の赤ちゃんにSIDSが多いのかはまだわかっていません。また、できるだけ母乳で育てること、妊婦や赤ちゃんの近くでタバコを吸わないことがSIDSの発症リスクを減らすことも広く知られています。

 一方、小さく生まれた赤ちゃんや呼吸器に問題のある赤ちゃんは、うつぶせ寝にすると呼吸や心拍の状態が落ち着きます。また、ご相談の赤ちゃんのように、うつぶせ寝の方が安定してよく寝るということも少なくありません。特に寝返りしてうつぶせ寝になる赤ちゃんは、あおむけに戻すとぐずったり眠れなかったりすることも少なくありません。あおむけでよく寝る赤ちゃんをわざわざうつぶせ寝にすることはやめましょうというのがキャンペーンの趣旨であり、うつぶせ寝の方が落ち着く赤ちゃんをあおむけに寝かせる必要は必ずしもないのです。また、SIDSの最も多い月齢は2~5か月ですので、ご相談の8か月の赤ちゃんではリスクはかなり低いと考えてよいでしょう。

 米国小児科学会の「SIDSと睡眠に関連した死亡」に関する2016年の勧告では、「いつまであおむけ寝にするのがよいかはっきりしていないが、1歳まではあおむけ寝が勧められる。しかし、あおむけからうつぶせ、うつぶせからあおむけへの寝返りができるようになったら、好きな姿勢で眠らせてよい」と書かれています。
http://pediatrics.aappublications.org/content/138/5/e20162938

 ただし、うつぶせ寝になると窒息事故を起こす可能性も増えるため、自分からうつぶせで寝るようになったら、ベッドや布団をアイロン台くらいの硬さにする、シーツをたるまないようにピンと張る、枕を使わない、周囲に顔を覆う可能性のある物を置かない、などの注意は払っておく必要があります。

 厚生労働省も毎年「11月は「乳幼児突然死症候群(SIDS)」の対策強化月間です」のキャンペーン情報を出していますので、参考にしてください。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000181942.html