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歯とお口のケア

Q. もうすぐ4歳。指しゃぶりがやめられず、歯科健診で交叉咬合を指摘されました。 (2010.7)

もうすぐ4歳になりますが、寝るときの指しゃぶりがやめられません。歯ならびに影響が出るのではないかと心配していましたが、先日、保育園の歯科検診で「交叉咬合」だと指摘されました。歯科矯正は費用もかかるし、なるべく避けたいのですが、いまからでも指しゃぶりをやめれば改善しますか。また、矯正が必要なのはどのような場合で、いつごろ判断すればいいのかなどについても教えてください。

回答者: 井上美津子先生

 指しゃぶりは、子どもの発達によって意味合いが異なることが認められています。

 乳児期の指しゃぶりは吸啜本能を満たす生理的な行為で、1〜2歳代の指しゃぶりはその生理的な指しゃぶりの延長上にあるものと考えられています。ただ、おしゃべりや遊びが活発になって、口や手がしゃべったり遊んだりすることに使われるようになると、自然に指しゃぶりも減ってきます。緊張したときに見られる意識下の指しゃぶりと、退屈なときや眠いときに見られる無意識の指しゃぶりにわかれてもきます。

 指しゃぶりの歯ならびや噛み合わせへの影響は、乳歯の奥歯が生え揃う3歳頃から現れやすくなり、4〜5歳まで続くと上の前歯が突出したり(上顎前突)、奥歯で噛んでも上下の前歯が噛み合わなくなったり(開咬)、上あごが狭くなって奥歯の噛み合わせがずれたり(交叉咬合)することが多くなります。歯ならび、噛み合わせへの影響の出方は、しゃぶる指の種類(親指か他の指か)やしゃぶり方、しゃぶる力の強さなどで異なり、また時間の長さによっても違ってきます。

 指しゃぶりをやめれば歯ならび・噛み合わせの改善を期待できますが、口唇の閉じ方や舌の動きなどの問題が生じていると(しゃぶっていないときに口を開けていることが多かったり、上下の前歯の隙間に舌を入れて飲み込む癖がついていたり)、改善しにくいようです。また、上あごの歯列がほんとうに狭くなっていると、指しゃぶりを止めただけで歯列が拡がるのは難しくなります。

 ご相談のお子さんは、指しゃぶりも寝るときだけになったようなので、昼間の指しゃぶりに比べると心理的な問題などは少ないと思われます。ただ、無意識にしゃぶっている場合、子どもを説得してやめさせるのが困難なので、昼間よく遊ばせて寝つきをよくしたり、寝るときの環境を整えたり、本人が納得したうえなら手にカバーをするなどの工夫が必要になるかもしれません。

 前述したように歯ならびや噛み合わせは指しゃぶりの頻度を減らしたり、やめることによって改善することが多いのですが、交叉(交差)咬合の場合には、その程度にもよりますが、自然に治るのは難しいことが多いようです。

 奥歯の交叉咬合は指しゃぶりのときに頬の力が奥歯の外側からかかることによって上あごの歯列(歯ならびのアーチ)が狭くなり、下あごの奥歯がずれて噛み合うことから起こります。程度が軽く、正常な噛み方もできるようなら、指しゃぶりをやめて噛み方に気をつけていくことで改善が可能でしょう。しかし、強い力でしゃぶっていて上あごがかなり狭くなっていると。そのままで正常な噛み合わせに改善することは困難です。

 一度、かかりつけの歯科か小児歯科を受診して相談してみることをお勧めします。場合によっては乳歯のうちに上あごを拡げて噛み合わせを改善する対応が必要となるでしょう。お子さんの噛み合わせの状態や治療への協力度などを見ながら、時期を選びます。上下のあごのずれが軽度ならば、指しゃぶりをやめて改善してくるかどうか経過を診て対応を考えます、上あごを拡げる治療などは矯正の一部なので保険はききません。費用についても相談してください。

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